第十二話
ある日の連休前の金曜日の朝の事である。
「ねえ祐樹、私の夢が叶いそうなの」
「おめでとうございます。ちなみにどんな夢ですか?」
「理想のメイドが欲しいの」
「じゃあご主人様の理想のメイドってどんな感じなのですか?」
「それはね、私の命令には絶対服従で、可愛くて、力持ちで、戦闘や医療などのあらゆる分野でエキスパートなメイドよ。」
うーん俺は二つくらいしかクリアしてないな。
「凄いですね。そんな人が来るんですか?」
「いや来ないよ」
「じゃあ先程の夢が叶いそうとは何ですか?」
「祐樹。あなたがなるのよ!」
「えっ・・・いや無理ですよ。私はご主人様の理想の二つくらいしかクリアしていません」
「だから連休中に理想のメイドにするのよ」
「まさか・・私に勉強しろと・・・?」
「そんなことしても祐樹には私の理想のメイドになるのは無理よ」
内心かなり傷ついた。
「じゃあどうするんですか?」「あなたに睡眠学習をさせるわ」
「それで私はご主人様の理想のメイドになるのですか?」
「さっき連絡があって睡眠学習をさせる機械が出来たらしいのよ。それを祐樹に使って私の理想のメイドにするわ」
「わかりました。お願いしますご主人様」
そして金曜日、学校が終わり俺と坂下はある研究施設に着いた。
「ここよ」
「随分と凄い建物ですね」
「中に入るわよ」
「はい」
俺は不安でいっぱいだった。そして案内の人に着いていくとある部屋の中に着いた。
「この部屋の中の機械がそうです」
案内の人は扉を開けて中に入り俺と坂下は後ろに着いて行った。そこには歯医者さんが使うような椅子に電極を沢山接続したヘルメットみたいな物が置いてあった。その横に白衣を着た人が数人立っている。そして隣の部屋にガラスごしにスーパーコンピュータが見える。数人の白衣を着た人がモニターを見ていた。
「さあ祐樹、これを着てこの椅子に座って」
彼女が着たのは白色のパジャマだった。俺は素直に着替えて座った。
「この機械で祐樹は理想のメイドになるわ」
「ありがとうございます。ご主人様」
そして白衣を着た人が俺に点滴をした。そして坂下が説明する。
「これは栄養剤と肉体強化液が入っているの。肉体強化液の副作用で眠くなるわ。おやすみ祐樹」
「はい・・ご主・・人・様・・」
そして俺は深い眠りに着いた。そして坂下は完全に祐樹が眠りに着くのを確認すると
「ではお願いします」
と合図した。そして白衣の人達は作業を始めた。そして坂下は
「私はやることがあるから。じゃあね、祐樹」
坂下は祐樹のいる部屋を後にした。
それから連休の最終日の朝に俺は目覚めた。横には坂下がいた。
「・・おはようございます。ご主人様」
「おはよう祐樹」
「あの・・私・・・」
「睡眠学習の事ね」
「はい・・どうなりました」
「成功よ。今証拠を見せてあげるわ」
そして彼女は首輪を俺に嵌める。
「なぜ首輪を?」
「今説明するわ」
すると坂下は俺に向かって
「祐樹、お座り!」
と命令する。
「はい」
俺は何の疑いも持たず床にお座りの体制を取る。
「あれ?何で?」
坂下は左手を出す。
「祐樹、お手!」
俺は坂下の出した左手に右手を乗せる。
「ねっ。首輪をしてる時に私の声だけに服従するようにしたの」
「何で首輪をした時だけなのですか?」
「いつも服従してたら面白くないでしょ?ちなみに首輪を嵌めている時に命令されたらいくら抵抗しても無駄だから。・・協力を拒み続ける天才に首輪をした瞬間に天才は絶対服従を誓う・・・あ〜萌える〜!」
「そうですか・・」
「それでは祐樹、この問題を解いてみて」
彼女が分厚い本から数学の問題を指差す。問題を見た瞬間に答えが浮かんで答えた。
「・・・ですか?ご主人様?」
「正解よ。ちなみにこの問題は有名国立大学入試の問題よ」
「え・・・」
「これで私の理想のメイドになったわね」
「うれしいです・・ご主人様・・」
「それと私からプレゼントよ。祐樹、お誕生日おめでとう!」
「おたんじょ・・ご主人様!覚えてくれてたのですか!」
「当たり前よ」
俺は大粒な涙を流した。
「ちょっと祐樹・・」
俺は涙を拭いて
「申し訳ありませんご主人様。私が誕生日にご主人様からプレゼントを貰えるなんて・・」
「早速開けてみたら?」
「はい」
中には紙が一枚入っていた。
「あなたの戸籍謄本のコピーよ勿論本物よ」
よく見ると性別が男から女になっていた。
「これは・・」
「これで祐樹は完璧な女の子よ」
「ありがとうございます。ご主人様」
「これからもよろしくね祐樹」
「はい!ご主人様!」
そして俺は女の子として働く事になった。