第十一話
季節が過ぎるのも早く、もう秋です。学校では文化祭のシーズンが到来しています。俺のクラスでは賑やかに文化祭での出し物を決めようと多数決をしています。
「じゃあ私達のクラスでは喫茶店をやることになりました」
とクラスを仕切るのは坂下である。彼女は自ら進んで学級委員長に立候補した。成績が学年トップの坂下が立候補したためすぐに決定した。
そしてクラスメートの一人が発言した。
「どうせならメイド喫茶にしたら?」
誰だそんなこと言う奴は?
「いいわね、皆さんどうですか?」
坂下・・おい・・やめてくれ。俺の頭の中に最悪のシナリオが頭をよぎる。
「別にいいんじゃね」
と男子。女子もおんなじような返事をした。一瞬坂下が喜んだ顔をしたが俺は偶然その顔を見てしまった。(全て計算済みか!)
「では役割は男子は裏方で女子は接客をすることにしたいと思います」
その取り決めだと俺は裏方になる。しかし坂下が俺に近づいて来た。
「あなたは接客よ」
「私は男ですよ」
「あなたの男の子な部分は戸籍ぐらいなものでしょ。すぐに私が戸籍も女の子にしてあげる」
酷い・・・
「返事は?」
「わかりました・・・」
「委員長〜服はどうするの?」
とクラスの女子が聞くと
「それは私が何とかするわ」
と坂下 が答える。つーか皆、こいつの家にはコスプレ服が店を開けるくらいあるんだぞ・・・。
そして学校は文化祭の準備期間に入り授業は行われずに一日中準備に取り組む事ができる。
そして俺は坂下の家からクラスの女子の人数と俺のを足した数のメイド服を持ってきた。
クラスの女子は少し興奮しながらメイド服を手に取った。
(前の日に坂下がクラスの女子の身体のサイズを聞いて俺が一番サイズが近い服を準備した。
身体のサイズが書いてある紙は坂下に渡し焼却処分した)俺もメイド服を持って更衣室でに着替えた。サイズが合っているか確かめるためと女子が凄く着たがっていたからだ。俺はいつも着ているため素早く着れたが大半の女子は着れずに困っていた。なので俺と坂下は女子の着替えを手伝った。たまに女子に
「あなた詳しいのね。何で?」
と聞かれるため俺は
「夏休みに坂下さんの家でゲームをした時に罰ゲームで着せられた事があるから」
と答えた。そして着替え終わりメイド服を確かめ合った。幸いな事にみんなサイズがピッタリだった。教室に戻る時に廊下で男女問わず視線が俺達に突き刺さる。(なんせ二十人近くのメイドさんが歩いているのだから)教室の前に着くと教室から変な妖気を感じた。一瞬扉を開けるのを躊躇したが扉を開けて中に入った。中では男子が妖気を放ち待っていた。坂下が
「どう?似合う?」
と聞くと何人かの男子が俺達に襲い掛かる。女子のみんなは目をつぶるが坂下は冷静に
「祐樹、お願い」
と呟く。俺は一瞬で襲い掛かる男子数人を気絶させた。それをみた男子は呆然としている。目を開けた女子は男子が転んで気絶したと思っている。 以後クラスの男子が俺に逆らおうとしなくなった。 そして教室を喫茶店にする作業が始まった。俺は女子の打ち合わせの合間に男子の打ち合わせと手伝いをした。
しかし実際は男子が俺の手伝いをしている。
(ちなみに俺と女子はまだメイド服を着ている。
理由は女子がメイド服にはまってしまったからと、坂下が俺にメイド服を着て作業するように命令したため)部屋のデザインはすべて坂下の意見で統一され必要な物をすべて自分で用意した。飾り付け?(殆どリフォーム)が出来上がってみるとそこは教室の面影は無く完全にメイド喫茶となっていた。まるで店を切り取って来たみたいだ。
「坂下、金いくら使った?売り上げはお前の懐に一円も入らないんだぞ」
と囁くと
「大丈夫よ。あなたが割った花瓶の値段の百分の一も使ってないわ。それに私こうゆう楽しい事とかにお金を出し惜しみないの」
と囁く。そーですか・・・。しかし学校はよく許可したな。来週の月曜日まで戻るんだろうな?
そうして俺達の学校の文化祭が始まった。やはり俺達のクラスは注目を浴びている。一般の人はともかく学校の生徒まで来ているので行列が出来ている。坂下の物凄いこだわりは内装だけに留まらず紅茶やコーヒー、ケーキや食器にいたるまで すべて最高級品を使っている。俺は
「多分この人達はもう安い紅茶とかケーキとか食べられないだろうな」
と心配していた。しかも坂下の提案でメイドさんを指名して接待させるシステムを取った。(つまりホストクラブのメイド版である)俺は指名数トップだった。廊下には俺と女子の個人写真があって待っている間に選んでもらうようにした。そして入口には
「メイドさんに乱暴な事をしたり悪口を言ったりすると強制退去してもらいます」
とかわいらしい文字で紙に注意書きがしてあった。そしてある他校の生徒数人が接待している女子(勿論メイドさん)数人の手を掴んでいる。明らかに女子は嫌がっているので店を監視している坂下から
「Bテーブルの男子を強制退去させるように」
と命令がイヤホンから聞こえた。俺は接待中のお客さんに
「しばし失礼します。ご主人様」
と笑顔で頭を下げて他校の生徒に向かって行った。俺は打ち合わせどうりの台詞を言う。
「規則により退去してもらいます」
そして俺は数十秒後に他校の男子を気絶させてクラスの男子が教室から退去させた。そして俺はまた打ち合わせどうりの台詞を言う。
「私達のクラスのサプライズショーをご覧頂きありがとうございます!これからもごゆっくりお楽しみ下さい!」
そうゆうとお客さんたちに笑顔が戻った。
なぜなら俺は映画のような派手なパフォーマンスで他校の男子を気絶させたからである。(ちなみにサプライズショーは度々おこった)そして俺達のクラスは今までの文化祭で最高金額の売り上げを記録した。文化祭終了後、メイド服はクラスの女子にプレゼントした。なぜならクラスの女子が物欲しそうにメイド服を見ているのと、坂下の気前の良さがあったためである。そして文化祭が終わった次の日(月曜日)に教室は何事も無かったように完璧に元に戻っていた。