第五章 さらなる試練を乗り越えよう
ドラゴンとの戦いを終え、四人は息を整えていた。
三人の傷だらけの体に、ジョアンナが治癒魔法をかける。
ブリジットが小さく笑いながら剣を拭う。
「みんな無事でよかったな」
ミラベルも杖を握りしめ、肩で呼吸を整える。
四人の間には、静かな達成感があった。
しかし、森から出ようとしたとき、彼女たちは驚いた。
まだ、ドラゴンがいたのだ。
「一匹じゃなかったのか!」
「ドラゴンはオスとメスのつがいでいることが多いって、聞いたわ」
もう一度、あの戦いができるのか。
そう考えた四人だったが、それでも…
「一匹でも逃がせば、人々が困るわ」
「やるしかないな」
四人の目に、決意の炎が宿る。
「よし、行くぞ!」
ジョアンナの指示で、四人は再び連携を整える。
「ミラベル、火球でドラゴンを押さえる!」
「了解!」
「エレノアは、後ろから!」
「任せろ!」
「ブリジット、エレノアを援護!」
「了解!」
森の近くには、集落があった。
あの村の人々の生活。
ドラゴンのために、怯えて生きるのか。
一生ずっと…
「絶対に負けない!」
四人は、ドラゴンを追い詰めた。
「グアアアアアッ!!!!」
ドラゴンの咆哮が森に響く。
巨大な尾が、飛びかかる。
「グッ!!」
エレノアは、剣で受け止める。
そのまま、ドラゴンの尾が切れた。
彼女は、その重みで腕が動かなくなる。
「ジョアンナ! 回復を!」
白光が瞬き、エレノアを即座に回復する。
「ありがとう!」
エレノアの目に、仲間への信頼が光る。
ミラベルの炎が魔獣の視線を引き付け、ブリジットの剣が背後から斬り込む。
四人の連携は、先ほどよりもさらに呼吸が合っていた。
だが、ドラゴンは最後の力を振り絞り、ジョアンナに向かって突進してきた。
「危ない!」
エレノアが駆け寄ろうとした瞬間、ジョアンナは一歩前に出た。
「大丈夫!」
白光に包まれ、魔獣の攻撃を受け止めるジョアンナ。
その姿に、三人は息をのむ。
「ジョアンナ!」
ミラベルの声が震える。
「やるぞッ!」
エレノアが叫ぶと、ミラベルとブリジットも応じた。
炎と剣が渦巻き、ドラゴンに直撃する。
連携の速さと正確さ、戦略の緻密さ。
四人の力が一つになり、ついにドラゴンは崩れ落ちた。
白光の中から、ジョアンナがゆっくり立ち上がる。
「…みんな、ありがとう」
「ジョアンナ! 無事でよかった!」
ミラベルが駆け寄り、ジョアンナを抱きしめる。
ブリジットもエレノアも、笑顔で頷いた。
「やっと、終わり… だよな?」
ドラゴンの二度の出現で、疑心暗鬼になったブリジットはいった。
「終わりさ!」
エレノアが、高らかに叫んだ。
戦いが終わり、集落の村人が感謝の言葉を、四人に告げた。
「アタシたち、英雄だってさ」
エレノアが、小さく笑った。
「私たち、ちゃんとやれるって証明したね」
ジョアンナが、静かに微笑む。
ミラベルも、笑顔を見せていった。
「これからも、ずっと一緒だね」
「もちろんさ!」
四人は肩を組み、夕焼けに染まる辺境の森を見つめた。
冒険は、まだまだ続くのだ。
どんな困難も、仲間と一緒なら乗り越えられる。
そう信じられる力が、彼女たちにはあった。
ギルドに戻ると、幹部たちは驚いた。
「依頼を達成したのか!」
彼らは、彼女らにはできないと思っていた。
それは、ナイジェルが、吹き込んでいたからだ。
四人組冒険者パーティー、エンビヤージは、ギルドの依頼を荒らしている。
だから、無理難題を押し付けて、その実態を暴露し、ギルドから追放しなければならない。
しかし彼女らは、見事に依頼を達成したのだ。
『実力のない荒らし』などではなかった。
逆にナイジェルが、責められることになった。
「ヤツらが順調に成長しているのが許せなかった」
嫉妬による執着だった。
彼は、ギルドから追放された。
噂の女四人組パーティ、エンビヤージ。
その名は、この日、さらに広まった。
ジョアンナが、しみじみといった。
「『冒険者は憧れるもので、なるものじゃない』って、思ったときもあったけど、なってよかった…」
冒険者として仲間として、そして友として、彼女たちの物語は、これからも続く…




