第四章 みんなでドラゴンを倒そう
彼女らのパーティー、エンビヤージの評判が上がると、依頼のレベルも上がってきた。
そして彼女たちに与えられたのは、辺境に棲む討伐困難なドラゴンの討伐依頼だった。
報酬は高額だが、危険度はこれまでの比ではない。
「…ホントに行くの?」
「もちろん。受けた依頼は全力でやるのが冒険者でしょ!」
エレノアは剣を握りしめ、力強くうなずく。
「でも、ドラゴン討伐って… ちょっと想像できないよ」
ブリジットは少し怖気づいていた。
「想像できないけど、やってみるしかないわ」
ジョアンナは、冷静に地図を見ながら指示する。
旅の道中、四人の会話は相変わらず賑やかだった。
「ミラベル、また火球の練習してるの?」
「うん、今回は的を外さないように…」
「この前の依頼みたいに、畑を焼くんじゃないよ?」
「えー、あれは事故だってば!」
笑い声の陰に、次第に緊張感も混ざる。
辺境の森は、昼でも薄暗く、獣の気配が漂っていた。
「あれが?」
ミラベルの指が、森の奥を指した。
巨大な影が、木々の間を移動する。
牙と鋭い爪を持つドラゴン。
全長五メートルを超える獰猛な姿。
その目は赤く光り、獲物を狙う狩人そのものだった。
「みんな、気を引き締めて」
ジョアンナの声が静かに響く。
エレノアとブリジットは素早く左右に分かれ、ミラベルは後方から魔法を構える。
「グアアアアッ!!!!」
ドラゴンが咆哮し、地面が震えた。
「うわあっ!」
エレノアたちは踏ん張り、ドラゴンの勢いを受け止める。
「ここは私に任せて! ファイアーボール!!」
ミラベルの杖から、炎の弾丸が飛び出す。
ドラゴンは火球に激しく怒り、空気を切り裂くように突進。
ブリジットの剣を跳ね飛ばし、エレノアに迫る。
「エレノア、下がって!」
「う、うわぁっ!」
間一髪、ジョアンナの光が二人を包む。傷は瞬時に癒され、体力も少し回復した。
「ジョアンナ…!」
「一瞬の隙を狙うのよッ!」
戦場のテンションは最高潮。
互いに掛け声をかけながら、四人の動きは一体となっていく。
「ミラベル、ドラゴンの目を狙って!」
「了解!」
魔法の弾が、ドラゴンの顔を焼く。
「よし、次は私だ!」
エレノアが剣を構え、全力で振るう。
「ブリッジ! おまえもッ!」
「任せろッ!」
二人が翼を切り裂き、ドラゴンを飛べなくする。
「うわっ、近い!」
ドラゴンの体が地面に激突し、振動が伝わる。
「ジョアンナ、回復!」
「はいっ!」
白い光がエレノアの傷を包む。
攻撃と回復、魔法と剣の連携。
四人の呼吸は次第にシンクロし、互いを補完するようになっていた。
だが、ドラゴンの力は圧倒的だった。
突然の尻尾攻撃でブリジットが吹き飛ばされ、ミラベルも魔法を連発させすぎて体力を消耗する。
「くっ、ヤバい!」
三人に隙が出来た。
そのとき、ドラゴンの口から出た炎が、ジョアンナに襲い掛かる。
しかし、彼女は魔法を使って、全身を覆った。
「私は大丈夫!」
その声は凛として、揺るがない。
三人は一瞬立ち止まり、彼女の決意を理解した。
「今度は、私たちが攻める番だッ!!」
エレノアが叫ぶ。
ブリジットもミラベルも、全力でドラゴンに立ち向かう。
魔法、剣、連携、そして信頼。
四人の力が重なり、ついにドラゴンは倒れた。
「ジョアンナ!」
三人が駆け寄ると、ジョアンナは息を整えていた。
「私は無事よ」
治癒の力で、ドラゴンの炎を防いだのだ。
彼女の微笑みを見て、三人は安堵した。
「ふぅ… 生き残ったね」
エレノアは汗と泥だらけの体を拭いながら笑う。
「…ジョアンナ、本当に大丈夫?」
ミラベルが不安そうに駆け寄る。
「ええ。心配無用よ」
ブリジットも笑顔でうなづいた。
彼女らは互いの存在を、これまで以上に強く感じた。
四人だけで、ドラゴンを倒すことができたのだ。




