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「【殺鬼の舞】」
剣閃がなぞるように駆け回る。
それは全ての敵の首を的確に刎ねる舞。
グギャーーーーッ!!!
そして、断末魔が響くと、同時に消え行く。
ゴロリと豚の頭が転がり落ちると同時に、その巨躯が倒れゆく。
殺すだけなら、もっと単純に魔術ででも吹っ飛ばせばいい。
しかしながら、なぜこんなにも手数が必要な面倒を選び取るのかというと…。
「ハァハァハァ…。」
「どうやら終わったようだな、シンヤくん。任せてしまって悪い。」
「いや、こちらこそ。みんなの護衛ありがとうございます。」
「うん、でもこちらこそありがとうだ。」
「「……。」」(てれ。)
「…そ、それじゃあ、解体を始めるとしようか?」
…まあ、こういうことだ。環境に優しく!などという半分ほど利己的なものではなく、完全なる利己性とでも言うのが適当かと思うもの、それを食べる。もしくは、その素材を売るためである。
実のところ、シンヤたちは「自律性がうんたらかんたら。」とか言われ、武器と(荷)馬車、それにほんの僅かな路銀を渡されただけで、お目付け役たる騎士とともに目的地を伝えられ、放り出された。
グチグチ言っていた奴は、騎士にシバかれ…良い子になる教育を受けてから、次々と気絶した状態で荷台へと放り投げられ、もしかしたらあの中には死体が混ざっていたのでは?と思うと、本当にメイアが自分たちの担当で良かったと思う。
メイアさんは美人だし、優しいし…エトセトラエトセトラ。
そう旅が進めば進むほどにメイアの好感度が上がり、相対的にあの三人衆への好感度が下がっていく。
だって、この一ヶ月近くずっとギスギスしてるんだもん。こんなん、メイアさんがいなかったら、胃にボコボコボコボコ、もう原型がなくなってたよ、たぶん。
しかしながら、そんな彼女たちの中でも、1人だけちょっとは見直してもいいか?と思い始める人物が現れた。
それは…。
「あっ…私も手伝います!」
普通な女の子ホノカである。
彼女は料理や、このような戦闘以外のことに関して、ちょくちょくこのように手伝いをしてくれるようになったのだ。…あの2人は喧嘩ばかりしてるのに…。
もしかして性に対してフリーなだけで、案外良い子なのかもしれない。
彼女がバレた裏アカ…それはいわゆるハ◯撮りという奴である。それも何人も何十人もの。もしかしたら百を超えているかも?などという噂もあり、様々な手練手管を持っているとも聴く。
…あっ…もしかしてこれもそういうこと?
いやいやいや…。
シンヤがそんな想像をしながら、解体をしていると、ふと見られている気がしたので、そちらへと顔を向けると、ニコリと微笑まれた。
「アカバネくんは凄いです!流石です!」
さ…流石。し…?。す…凄い。せ…センスある。そ…?
…この内の2つを満たしているんだけど…汗汗。
「?」
…これはまだ様子見…かな…はぁ…。
「?」