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春の学校エッセイチャレンジ 

農業高校が休みにならない

作者: 恵京玖

 卒業式でクラッカーを鳴らす奴とか、廊下に消火に使うホースを出してしまった奴とか……と色々と突っ込みどころが多かったうちの農業高校。会社の人に話すと「日常ギャグ漫画」と評された。

 また実を言うと私の学科は【生活科学科】で農業より調理や裁縫などの授業が多かった。だから畑とかは他の学科に比べていくことは少なかった。とはいえ、草むしりをさせられていたが。

 荒川弘先生の名作【銀の匙】に比べてかなり緩い農業高校だったのだが、普通の高校とはやっぱり違っていたと思う。


 特に思ったのは学校が休校にならないと言う事。

 うちの高校の近くには二つほど普通高校があった。

 それでこの普通高校二つが大雨で午後の授業はやめて、生徒を帰らせていたのに対してうちの高校は普通に授業を続行していたのだ。なぜか。

 この理由を聞いても先生ははぐらかしていたのだが、ある一説によると【生き物を扱っているので、簡単に休むわけにはいかない】らしい。つまり農業に休みはねえぞと言うブラック企業並みの労働を学生の頃から身に付かせようとしていたのだ。

 え? インフルエンザの流行で学級閉鎖になったりしないのかって? ……まずインフルエンザとかになる人が少なかった気がする。ほら、何とかは風邪ひかないって言うし。


 そんな高校に通っていたのだが、さすがに大雪になって電車が動かなくなる日は午後からの授業は休みになった。ちなみに大雪と言っても、うちの地方は穏やかな気候で滅多に雪が降らない。だから積雪数センチ以上になると大雪警報が出て、電車は止まってしまうのだ。……ここら辺からして【銀の匙】と比べて緩すぎるが、気候なのでしょうがない。


 大雪警報が出て午後からの授業は休校になり、帰る準備をしていたら突然、剣道部の部長がこう言ってきた。


「部活があるぞ」


 ……え? どういう事?

 戸惑いつつも道場に行くと顧問と部員がいた。えー……嘘やろ! みんな、帰っているけど!

 顧問の決断に突っ込みを我慢しながら私は稽古をした。

 練習はいつもより短い時間で終わって、顧問から「今日は雪だから、練習も早めに切り上げた」と言った。いや、雪が降ってみんなが帰っているんだから、部活をしないで帰らせろよ……と私を含めた部員は心の中で突っ込んでいた。


 部活が終ると電車は大幅な遅延をしていたので、親から「迎えに行く」と連絡があった。ほとんど誰もいない校庭で、何で稽古したんだろう? と思いながら小さな雪だるまと雪ウサギを作る。遠くでは剣道部の男子が雪合戦をしていた。





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