表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/19

09.「がくせい」授与式

 誕生パーティーから数日後、授与式とやらのために王宮に出向くことになった。

 物凄くパリッとした、貴族然とした服装、油で整えられた髪、普段は履かない綺麗な靴。

 王宮に向かう馬車の隣にはリリィ先生、向かいに父であるスワン子爵が座っている。


「ところで、この授与式って、何を授与されるんですか?」

「いや、私も詳細は知らされていない。むしろリリィ先生の方が詳しいだろう」

「で、リリィ先生、どうなんですか?」

「それは、着いてからのお楽しみ♪」


 はぐらかされてしまった、誕生パーティーでのマッチポンプ行為、まだ完全に許した訳じゃないからなリリィ先生…

 いや、リリィ先生が補佐で入ってくれないとマジで困るから、そんなに責め立てたりはしないけど、そんなには。


 そんなことを話したり、授与式について無駄に考えているうちに、王宮に着いた。

 しばらく…と言うには長い時間待たされてから、謁見の間に呼ばれる。


 威厳を持った国王陛下が、重々しく言葉を発する。

「そなたが、トイレを開発したというセドリックとやらか」

「はっ、セドリック・スワンと申します、国王陛下においてはご機嫌うるわしゅう」

「よいよい、おおよその話と成果については、学力認定員リリィ・マルセーネから聞き及んでおる。こたびの報償として、セドリックに学聖の位を与え、今後はセドリック・トイレ学聖を名乗るが良い」


 まさかのトイレ子爵令息から、トイレ学生かよ…マジですか、もう泣きたい。けど国王陛下に無礼は働けない。


「は、ありがたき幸せ!」

「セドリック・トイレ学聖は、言語に若干の不自由を抱えていると聞く。そこに配慮し、リリィ・マルセーネを学力認定員の任を解き、学聖の専属補佐に任命する」

「はい、承りました」


 あ、リリィ先生が補佐に入るのはマジの決定事項だったんだ。良かった…のか?本当に?いや、リリィ先生がいないと論文も書けないからこれでいいんだ、そう信じないとやっていられない。


「セドリック・トイレ学聖は、アカデミーに入り、その知性を存分に国のために振るって欲しい」

「ご期待に添えるよう、尽力いたします」

「では、下がってよし」


 しかし、学生にするだけなのに、なんで国王陛下がわざわざ学生任命なんてするんだ?

 リリィ先生は賞賛の笑みを浮かべ、父スワン子爵も「学聖の位を賜るとは、我が家の誇りだ」などと言っているが、アカデミーの学生はそれほど高い地位だったか?


 余談だが、学聖とは『一代限りの伯爵位相当』であり、セドリックとしては途方もない出世なのだが、本人だけは知るよしもない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ