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03.この世界の言語特訓と写経

 さて、今の自分最大の課題は「文章を読める、だけど書けない」に尽きる。


 リリィ先生の教えによれば、この世界を構成する文字は『ヒラキ』『カナキ』『アルキ』の三種、漢字は存在しないようだ。

 この三種の文字は当然五十音で提示されたが、それぞれが平仮名、片仮名、アルファベットだった。そんなのは前世からの常識なので、一目見て興味を失った。


「単語を書くとき、このヒラキ、カナキ、アルキの使い分けの法則性は何ですか?」

「法則性?法則なんてあるのかしら、ひたすら多くの単語や表記に触れて、覚えるしかないんじゃないかしらね」

「実は僕も読むことだけはできるんです、だけど書くのは全くわからなくて」

「そうね、まずは多くの書籍に触れるのがいいかしら…私もそうしたし…」


 天才の呼び声高いリリィ先生、なんか頼りないぞ…


「じゃあ先生こうしましょう、まずはうちの書斎にある書籍を声に上げながら書き写す。こうすることで、目、口、耳、手で記憶が定着しやすいはずです」

「ちょっと待って、それ写本の作成じゃない!写本ギルドの認可なく、写本を作ったりしたら重罪よ!」

「じゃあ、ちょっくら写本ギルドの認可を取りに行ってきます」

「五歳のセドリック君が行っても門前払いに決まっているでしょう!」

「それなら、どうしろって言うんですか…」

「…わかったわよ、私がギルドの認可を取ってくるわ。認可を持った者の監督下でなら、写本作成も法律上問題はないですから」

「よろしくお願いします!」


 いやぁ、さすがリリィ先生頼りになるなぁ!間違いなく認可は取れるだろうから、早速本の選定に入っておくか。


 言語特訓だから、文章多めのジャンルがいいな…『グンマー王国史』『地理』『貴族年鑑』そして数冊の物語でいいかな?

 プログラミング言語では、写経が一番効率良い学習だったしな!グンマー言語の法則性を見いだすにも、きっとこれが最速だ。


 早速『グンマー王国史』を開いた、最初の吐き気を催す感覚にまでは至らないが、やっぱり違和感が凄まじい。

 我慢しながら『グンマー王国史』を声に出して、羊皮紙っぽい紙に写していく。


 するとリリィ先生が帰っきたが、いきなり顔を蒼白にして悲鳴を上げた。


「なんで、もう写本を始めてるの!ギルドの認可を持った者の監督下でない写本は重罪、そう言ったはずよ!」

「いや、先生なら絶対認可取って戻ってくると思ったから、ちょっと早めに練習をと…」

「写本ギルドの認可は即日下りるような物じゃないの!試験は受けてきたけど、その後お偉いさん達の面接とか、認可を受けるまでに何日も掛かるのよ…はぁ、頭痛い」

「体調悪いんですか?頭痛薬飲みます?」

「だ・れ・のせいだと思ってるのよ!…はあ、この書きかけの写本は見つかったら大変だから、燃やしておくわよ」

「もったいない」

「セドリックの人生には代えられないでしょう!?どうやら、文字を書けるようにする前に、一般常識や法律の方が先のようね…あと貴族年鑑の写本は止めておきなさい、気を悪くする貴族も多いですから」


 そう、確かに。写本ギルドの話も知らなかったし、写経が重罪だなど、色々知らないことが多いのは今日一日で明らかになった。

 そういえば、リリィ先生の俺の呼び方が『セドリック君』から呼び捨てになったな、距離が縮まったようで嬉しい。

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