17.国家騒乱罪、そしてグンマー王国追放
リリィ先生の家に匿って貰った。
しかし、それは一晩しか続かず、翌日には王国の近衛騎士がリリィ先生の家まで来た。
「異端のセドリック、王宮への出頭命令である!従わないなら拘束してでも従ってもらうぞ!」
流石に近衛騎士相手に逃げられるとは思えない。おとなしく従い、ボロい馬車に揺られて王宮に出頭する。
以前の学聖授与式では結構待たされたのに、今回はすぐさま国王陛下の前に連れ出される。
優雅な礼もできない、両脇に騎士が拘束し、完全に扱いは罪人である。
「異端のセドリック・トイレ、現時点をもってトイレ学聖の地位を剥奪する!そして罪状は異端思想を広げようとしたことによる国家騒乱罪。スワン子爵も、今回の件でセドリックはスワン家とはもはや無関係だと主張している。流石にトイレの功績は無視できぬ故、斬首刑だけは見逃してやる。ただし、グンマー王国からは追放する、ただのセドリックよ、今後生涯王国領土に立ち入ることまかりならぬ!」
そんな…グンマー王国の外なんて、不毛の大地ばかりが広がる絶望の地ではないか。
いっそ、斬首刑の方が温情に思えるほどだ。
そうして、再びボロい馬車に乗せられ、グンマー王国の外に連れられていく…
不毛の大地の中で、俺は馬車を降ろされ、そのまま馬車はグンマー王国に戻っていく。
この不毛の大地では、水の入手すら絶望的なのが明らかだな。
はは、俺の命はよくて三日といったところか…
その馬車と入れ違いになるように、馬を駆けてくる女性…あれはリリィ先生じゃないか!
リリィ先生、なんでわざわざ…無断でグンマー王国外に出れば、もう入国が許されないのに。
正式な出国許可など、通常は出ない。今回の追放のような事があれば、国外への搬送員が取得するのが精々だ。
なんで、リリィ先生は、自ら国外追放になるような行為を…