10.アカデミーの学生に研究室?
俺はアカデミーの門を潜った。
「セドリック・トイレ学聖ですね?どうぞこちらに」
トイレ学聖の呼び名はどうにかしたいけど、ここはグッと我慢する。
「トイレ学聖の研究室はこちらになります、リリィ・マルセーネ補佐官は既においでになられています」
「わかりました」
中に入ると、リリィ先生がお茶を飲んでくつろいでいた。
「リリィ先生…」
「いやだな、もう先生じゃなくて、セドリック様の補佐ですよ」
「様づけは止めてくれ…今まで通りセドリックでいいよ」
「トイレ学聖じゃなくて?」
「それは本気で止めてくれ!」
リリィ先生と睨み合っていたが、同時に笑い出す。
「さて、学聖様、これからどうしますか?」
「っていうか、学生に研究室って普通じゃない気がするんだけど」
「いえいえ、学聖を賜ったなら、これ位の待遇は当然よ」
「え、アカデミーの学生は全員研究室を持っているの?」
「セドリック?学聖はあなただけよ?」
何か、互いに齟齬があるようだ、それもかなり深刻な。
リリィ先生も気づいたようで、紙に記す。
『Gaくセi』『ガくセi』
「前者がアカデミーに属する学生の表記ね、で後者があなたの賜った学聖の表記」
「こんなのわからない…」
「カナキが単語の冒頭に付く場合、爵位やそれに準ずる意味を持つみたいよ…多分」
「先生、以前に法則性は見いだせないとか言ってませんでしたか?」
「…これでも必死に見つけた、数少ない法則らしきものの一つよ、あまり虐めないで」
そうか、リリィ先生も苦労してるんだな…
っていうか、学生じゃなくて爵位に準ずる称号だったのか…どの程度の立ち位置なのだろう?