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⑦ 骸骨の夢が鬼に響き、船は西に進んで行く。
夕陽がゆっくりと沈む中、水平線の彼方から船の影がぼんやりと浮かび上がってきた。赤く染まった空と海が溶け合い、船の輪郭を際立たせる。船体は黄金色に輝きながら、波を切り進むたびに、その光が揺らめく水面に反射して、まるで夕陽そのものが動いているかのようだ。徐々に近づくにつれ、その影はますます鮮明になり、やがて船の全貌が目の前に広がる。
巨大な船は岩を器用に避け、鬼達に近ずいてくる。
船先からムスペルが1つしかない腕を振る。
「おーい!早く乗れ!」
錨を下ろし、ハシゴを垂らす。
鬼が乗り込むと、骸骨は地に伏せていた。
ムスペル「ずっと誰かに伝えたいと思っていた。小さい頃から私は同じ夢をみていた。
美しい女神とその守護する神々の冒険の物語を!もちろん鬼達に重ねるのは違うのは分かっておる、だかこの老いぼれの見た夢の続きに付き合ってくれんかっ!」
ハイレン「この船に酒はあるか?」
ムスペル「もちろん!上等な酒がたんまりな」
ハイレン「では新しい仲間に乾杯するとしよう!」
海の彼方に陽が沈み、鬼達の宴は始まる。
船は西に進んでいく。