④ 小さな岩場に骸骨が1つ、動く様に鬼も驚き、喋る言葉に恐れおののく。
小さなイカダで3日程進んだ夜のこと、
何も無い海の果てに小さな光を見つける。
鬼達は興味をもって向かう事にした。
近づくと沢山の沈みかけた船が平べったい島に着いていた、島には木々も草もなく、ただ石がゴツゴツあるだけだ。
島の中央にポツンと焚き火をする人影。
丸太に座り船首で火の世話をする片腕の骸骨の姿に鬼達は驚き立ち尽くした。
「やれやれ、鬼に驚かれたら私もおわりじゃ のう、、」骸骨はこちらに首も向けずに呟く
ハイレン「どなたかは存じませんが、酒でも飲みながら語らいませんか?」墓から持ってきた酒樽を担ぎながら近ずいていく。
「おお!酒なんぞは何十年ぶりぞ!私の話なんぞは肴にもなるまいが、有難く頂くとしよう!我が名はムスペル、ナグルファル号の船長であった。」
ムスペルは一口酒をあおり話を続ける
「貿易の為にサテュロスの島に行く途中、我らの前に巨大な物陰が見えた、旋回して逃げようとした矢先に巨大な手に持ち上げられ、海面に叩きつけられた船は木っ端微塵、私は必死でこの島に逃げてきたが、家族も船員も片腕も船も失った。
それからというもの壊れた船の破片で焚き火をし、通る船に注意をしてきたが、島の回りを見れば分かる様に多くの者が犠牲となった。おかげで火種にはこまらんがのう、、
いくら鬼でもあの化け物の先に進めまい、
悪いことは言わんから引き返すがよい」
ムスペルはまた1口酒を飲む。
鬼達は大いに恐れ、互いに顔を向ける。
宴は続く
ハイレンは平たい皿に酒を見たし、舌で器用に舐める「バクんバクん」
ダンテは酒樽に鼻を突っ込み吸い込んだ酒を口に流し込む「ジャーごくん」
サンゴは4本の手におチョコを持って休みなく呑んでいる「アム、アム、アム」
コハクはお面をズラして呑んだかと思うと、
踊りだした「ヨイサ、ヨイサ」
ムスペルは首を横に振り呆れながら呟く
「お前達は何しにここまできたのだ、、」
ハイレンはこれまでの経緯をはなし、ムスペルは頷き、眉をひそめ、そして深くうなずいた。
コハクの踊りが宴のおわりをつげ、
鬼はみな立ち上がる。
ムスペル「やはり行くのか、」
鬼もイカダに乗り込みムスペルに手を振る、
ムスペルはこちらも見ずにまた火の世話をしながら「良い航海を」とつぶやく。