① 刻はうしみつ、人毛の無い墓場、黒猫の合図で宴は始まる。
そこは山の上、道は草で隠され、入口は木々に囲まれた忘れ去られた墓場、墓石はツタで覆われ誰のものかもわからないが、4匹の鬼が墓守をしている。
鬼達は夜な夜などんちゃん騒ぎ、飲めや歌えや踊れや食えや。
ハイレン「今夜も酒も肴もたんまり有る、明けの明星に見つかるまでに平らげよう!」
乾杯!
ハイレンは兄貴分、虎の頭、青くて大きな身体で力持ち、投げれば星を壊し、飛べば月のウサギを捕まえる、料理とお酒をこよなく愛する優しい鬼。
サンゴ「ダンテ、私の分のキュウリの味噌和え食べないでよ!」
4本のうでに皿を乗せて忙しそうに料理を運ぶサンゴは母親役、長い黒髪の上に塔の様な王冠、足は柱の様に細く、上半身は豊満、目から出される光線は岩も砕き、吐息は全てを凍らせる。
ダンテ「わかったよサンゴ、、」
名残り惜しそうに鼻を引っ込めるダンテは象の頭に大猿の身体、鼻から出される水は国を流し、大きな身体で山をも潰す。
コハク「今宵も月がきれいだね、ヨイヨイ」月夜で華麗に踊るコハクは白装束に般若のお面、手に持つ扇子縦に振れば大風で島をも飛ばし、横に振ればカマイタチで鉄をも切る。
鬼達の宴は波が紅く色ずき、鶏が1度鳴くまで続き、朝日と共に鬼は消える。