一話 下
「俊輔、お前 最近眠れてねぇのか?」ドボン……じょじょ…ビチチチッ 不規則な放尿音を響かせながら聞いてくる。正体不明の汚物臭と安い芳香剤の匂いが混ざった嫌な空気を最小限に鼻から吸い込み、返答する。「うん、最近ずっとうなされちゃって……変な悪夢を毎日みてるんだ……裸の男がこっちに向かって歩いてくるっていう夢。」じょばば…ぴちょ…ちょぽぽ 俺が喋りきっても放尿音は止んでいなかった。「へ、へぇ~ そ、それは大変だなぁ」小便の快感で声を震わせながら、言ってくる。 俺は小便をするUの幸せそうな顔を見ながら、呑気だなと心の奥底で毒づいた。「それは一回リフレッシュする必要があるな」いきなり冷静になったU。放尿音はいつの間にか止んでいた。「だったら今週、俺の別荘に招待するよ。景色が綺麗だからさ、いいリフレッシュになるぞ」Uからの突然の提案に戸惑い、思いっきり空気を吸ってしまった、不快感で顔を歪ませる。Uは間髪いれずにこう言ってきた。「俺たち、友達だよな?」その圧力から、俺はとっさに首を縦に振る。Uはさっきと違い、笑っている笑顔でこう言った「じゃあ、決定な」 俺の顔の周りに小虫が纏わりつく。止んでいたはずの放尿音が、また、不規則に響きだした。
1話 完