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クライヴ王子は壇上で隣に立ち腕をとってくれている無邪気な天使にソッと話しかける。
「フローラ、これが片付いたら話がある。」
「何かしら?クライヴの話してくれることならなんでもいいわ。楽しみにしてる!」
ニヤけるのを堪えるために今までのことを振り返ることにした。
奴に教えた時刻までまだ間がある。
(チェスターが筋肉美を皆に見せつけるようにポージングを決め、バーナードが魔法で手品じみた芸をやっていて余興らしくはあるな…うん。)
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3年の始業式の日、いきなり奴と出会して気分がダダ下がりだったところに天使が舞い降りた。
いや、目の前ですっ転んで図らずもあの美しい脚を魅せてくれた。
それが今も隣に立っていると思うと…
ダメだ!昨夜十分堪能しただろう!
いやいや全然十分じゃない。
また、あの美脚の間に頭を埋めて…
いや、いい加減ヤバい。頑張れ俺の表情筋!
それにしてもちゃんと純潔であって安心した。
小うるさい女生徒どもの「男に馴れ馴れしすぎる」という批判だけは同意せざるを得ない。
俺の天使は無防備すぎる!
取り巻きどももなぜか恋人気取りで許せん。
明日の立太子式後にキチンと身分の上下を分からせてやらねば。
そうだ、身分といえば聖女認定だったな。
教会に急がせねば。
純潔が条件ならば自らの行いを明かそうではないか。
聖女と同時に王妃となるのだ。嫌はないだろう。
やることは山積みだな。
王太子ともなると大変だ。頑張らねば。
俺の天使のために。あの美脚を毎日堪能するために!
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あ、この人もうダメだ。