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氷の姫君  作者: ran.Dee
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4

クライヴ王子は婚約者ジャクリーンが苦手である。


10才の時のバツの悪い再会以降、15才で貴族学園に共に入学するまでは顔を合わせたこともなかった。

例の事件は無かったことになったのでお互いにそのように振る舞ったが、当然気持ち的にはそうはいかないものである。

クライヴ王子は気まずいだけであるが、本人から謝罪もないジャクリーンは深刻である。

謝罪がなければ赦しもないのは当たり前だが、加害者は失念しがちのよくある話である。

王子さまと美しい婚約者の入学で一時は色めきたった学園であったが不仲が知られるようになると腫れ物に触れるような扱いになった。

学園には同じクラスにならぬよう配慮され、授業も被らないよう調整された。

が、廊下等で鉢合わせした際には何事もなかったかのように普通に婚約者同士の挨拶を交わす。

周囲の生徒の心臓に悪い一幕である。

卒業と同時に立太子され王太子妃として輿入れするという既定路線の政略結婚であり、王族として貴族として当然の在り方と理解された。

婚約者のことを除けば2人とも充実した2年間であった。


3年の始業式当日、新1年生の入学式も同時に行われるため校内は慌ただしい空気に包まれていた。

ジャクリーンは貼り出された所属クラスの確認のため校庭をお付きとともに歩んでいると幸先の悪いことにクライヴ王子一行と出会してしまった。

社交辞令の挨拶を交わしていると、そこに走ってきた新1年生の女生徒が派手に転倒した。

真新しい制服のスカートが捲れて形のよい白い脚が若干露出している。

お付きが引き起してやる。


「す、すみません!講堂に急いでいたもので…」

「怪我はないか?」


爽やか王子が気遣うようだが少し目が泳いでいた。


「ありがとうございます!だいじょうぶです。申し訳ありませんでした!」


そそくさと立ち去ってしまった。

(黒髪黒目…枢機卿猊下の仰っていた聖女候補ね。しかし不自然な…)

素早く考えを巡らせるとジャクリーンはお付きの従者ゴードンに微かに頷く。

ゴードンは密やかに後を追うように歩いていった。

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