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氷の姫君  作者: ran.Dee
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3

クライヴ・ランチェスターは正しく王妃アビゲイルの一人息子である。

ブロンドの髪にグレイの瞳、適度に筋肉のついた長身の美丈夫は誰の目にも爽やか王子さまと映ることだろう。

母アビゲイルは戦後の荒廃した国土の復興に悩む王家に実家のレイモンド侯爵家所有の金鉱と共に輿入れしてきた。

そのため王は王妃には頭が上がらないが、義父レイモンド侯爵は外戚として我が物顔に振舞うこともなく王妃自身も政治に口出しすることもない。

ただしクライヴを王位につけること、この一点においてこの親子は譲るところがない。

側妃が懐妊すると必ず不幸な事故が起こり流されてしまう。

王宮においてはもう日常とかしていて事故はろくな調査もされないまま処理され、3人の側妃たちは密かに避妊をするようになった。

王妃は我が子が立太子されたあかつきには金鉱の名義を贈るつもりである。

溺愛する息子の将来の権力を盤石のものとするために息子が立って歩け言葉も話せるようになった3歳の時、同い年の公爵家令嬢との婚約を積極的にすすめたのも王妃であった。

もちろん王も従兄弟であり親友でもある公爵の娘を息子の嫁に迎えるのに嫌はなかった。

王宮にてクライヴは王となるための教育を、ジャクリーンは王妃教育をそれぞれ受けていた。

幼き頃にて恋愛じみた関係はまるでなかったが仲は悪くなかった。

だが、婚約より5年後、それは起きた。


---


その頃、2人はそれぞれ個別に結婚後の閨事について教師より教えを受けていた。

ジャクリーンはただの知識として学んだが、クライヴは女体に多大な興味を覚えてしまった。

そして確かめてみたくなってしまったのであった。

これが王宮に大勢いるメイドか侍女であったならなんの問題もなかった。

しかし夫婦のことについて学んだという意味のない律儀さを発揮して興味の対象をこともあろうに幼いジャクリーンに定めてしまったのだった。


「図書室に行かないか?美しい絵本を見つけたんだ。」

「はい殿下、お供します。」


王宮の図書室である。

護衛も事前に中を確認した後は室外に控える。

図書室に2人きりとなった途端、緊張のあまりクライヴは無言のままいきなりジャクリーンのドレスを乱暴に引きちぎってしまった。


「キャー!!!」


ジャクリーンの絶叫が王宮内に響きわたり、護衛その他が図書室になだれ込んだ時には下着姿で泣きじゃくるジャクリーン。

その口を塞ごうと覆い被さる真っ赤な顔をしたクライヴ王子の姿が…

すぐに緘口令がしかれ、侍医が呼び出された。

ジャクリーンの体については無事であったことが確認されたが、表情は抜け落ち一言も声を発しない状態は一週間たっても変わらなかった。

公爵家の元々の領地は王都近郊にもかかわらず自然豊かなところで、ここに本邸がある。

心を閉ざしたジャクリーンは静養のため本邸に居を移した。

実に2年間、王都に戻った時には10才になっていた。


その間、婚約について王家と公爵家の間に駆け引きがあり、婚約契約書に再発を防ぐための一文が追記されることで継続されることになり、王宮にて本人たちにも説明が行われた。

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