Navigator LP 380
国産のマイナーブランドギターを使ってみた感想文です。
2ヶ月ほど前にNavigator LP380 というギターを購入しました。使用した感想文です。
1978年製の国産ギターで、購入価格は58万円。発売当時の価格は38万円で、国産の市販モデルでは最高級ラインのギターでした。
まず、国産のギターとギブソン、フェンダーなどの海外産のギターとでは『音の質感』が全く違います。『どっちが良い』とは一概には言えず、それは完全に個人の好みです。
今のNavigatorにはダンカンのPUが付いていますので、音は海外産に近くなっていますが、当時のNavigatorのPUは国内で手巻きで作られた物が使われていますので、その点でも音はギブソンのレスポールとはかなり違います。ギブソンのハムもPAFなどは手巻きの物は『枯れた音』などと言われて重宝されていますが、あれは『枯れた』のではなく、手巻きで巻きが荒いのでバリバリと荒っぽい音が出るだけで、その荒っぽさが『良い感じ』に聴こえる訳です。その点、Navigatorに搭載されている手巻きのPUは、几帳面な日本人の職人芸で巻いているので、とにかく音の密度が濃いです。かといって機械巻きのように音が固くなく『ちょうど良い』感じに『濃い』です。
また、1993年以前のNavigatorは、ボディのアーチトップやネックも全て手削りで成型していますので、手に馴染むというか、本当にギブソンなどの機械削りの製品とは全然違う、高級家具みたいな独特なフィット感があります。
もし、Navigatorのギターを買うなら、絶対に70年代から80年代前期です。この頃、日本の好景気に便乗してギター作りに必要なマホガニーやメイプル、エボニーやローズウッドといった木材は、最高級の上澄みの部分は全て日本の岡田物産などが買い占めていたため、当時日本にあった木材が品質としては世界最高でした。そんな日本の暴挙にホンジュラス共和国などが激怒して、マホガニーでは最高ランクのホンジュラスマホガニーを輸出全面禁止の天然記念物に指定したりしました。今ではホンマホは入手出来ません。
80年代以前のNavigatorはホンジュラスマホガニー製です。
ホンマホはもの凄く目が詰まっていて硬くて重いため、セットネックのソリッドギターに使うと、澄んだサスティーンの長い音になります。バリっとしたギブソンのレスポールの音とは対照的と言えるほど甘くて芯の太い音になります。ここはホントに好みが分かれるところで、鮎川誠好きな友人に貸したところ『甘すぎる。ぜんぜんダメだ。』との事。フロントでトーンを効かせてジャズも弾く私にとっては、これ以上無いくらい最高に使い勝手の良いギターだと思えます。リアで歪ませればレスポールの音としてギブソンと大差無いくらいちゃんとレスポール然とした音が出ますし。
使ってみた感想として、これは良く出来ているギターだと思います。
私は好きです。