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噂のエル・ドラド 7

★部分を削除改定しました。

完全ver.はムーンライトにて。

用心のために部屋には鍵をかけていたのに……そんなもの、何の役にもたたなかった。

皇帝陛下が入れないお部屋なんて、宮殿にはない。


……いや、カピトーリのどこにいても……一度狙われてしまったら、逃げ場なんかどこにもなかった……。



「……そう、泣かないでおくれ。」


事が済んでから、陛下は悲しげにおっしゃった。


……よく言うわ。

こんな酷いことをしておいて……。

酷い……。

ひどい……。


陛下に背を向けて、私はむせび泣いた。

……興醒めしてくださることを期待したのだが……。


「かわいいひと。どうか、もう泣かないで。……あなたは私のものになったのだよ。これからは、皇孫だけじゃなく、私にも笑顔を見せておくれ。」


……皇帝陛下は、いたく私を気に入られてしまった……らしい……。


最悪だ。

まったく望んでいないこの状況。


皇帝陛下は、その後もたびたび私の部屋を訪れた。



秘密は秘密でなくなってゆく……。


あんなに豊かに出た母乳も、減ってしまった。

それ以上に、私は、すっかりふさぎ込んでしまった。


乳母として役に立たなくなってくると、皇帝陛下は新たな乳母を探し始めた。


ようやく解放されると安堵した私に、陛下は笑顔でおっしゃった。


「やれやれ。これで昼も夜もそなたを独占できますね。皇孫にはもっと早く代わりの乳母をさしあげればよかった。」

「……。」


絶望が広がる……。

かつてのジョージオさまと同じことをおっしゃる皇帝に、私はハッキリと恐怖心を抱いた。


元々、皇帝陛下に対して、何の憧れもなければ、嫌悪感もなかった。

就寝中に突然陵辱されてしまった怨恨がなければ、ここまで拒絶することもなかったかもしれない。

皇帝陛下は、私という人間の尊厳を踏みにじられていることにまったくお気づきではない。

むしろ御自分がこんなにも目をかけ、可愛がっているのに、どうしていつまでも強情なのかと思ってらっしゃるようだ。


……無理だ。

とても、陛下をお慕いすることはないだろう。


まちがって、御子を授かる前に、ここから逃げたい。


助けて……。



***



ようやく噂を耳にしたらしく、大公さまからの書状が届けられた……なぜか、わかりやすく封蝋が切られて……。


皇帝陛下の検閲済みということだろうか。

つまり……私からのお返事も、陛下に読まれてしまうのだろう……。

それがわかっていて、とても筆をとることはできなかった。


心から心配してくださっている大公さまに、嘘を申し上げることなどしたくないし……だからといって真実を書けば、書状は闇に葬られるのだろう。


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