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噂のエル・ドラド 6

何を言われたのか、完全に理解することはできなかった。


ただ……お願いとおっしゃっているけれど……皇后さまのご意志に背くことは許されないはずだ。

これは……結局、皇后さまを介して皇帝陛下からのご命令ということなのだろう。


えーと……。

困ったわ。

さすがに、もはや生娘じゃないわけだし……秘密の恋人の言葉の意味はわかっている。

つまりベッドのお相手をしろってことよね?

ええええ。

マジか……。


「あの……突然すぎて……その、まさかそんな……思いも寄らなくて……」


しどろもどろな私に、皇后さまは目を細めて、うなずかれた。


「ええ。わかりますよ。陛下が、そうまで強く望まれることなんて、なかなかありませんもの。ありがたすぎて、天にも昇る心地でしょう?よくわかりましてよ。」

「……。」


わかってない。

わかってないにも程がある。


いや、もしかして、わざとか?

有無を言わさず、私に承諾させるおつもりなのだろうか。


「大丈夫よ。陛下はとてもお優しいかたですから。何も心配なさることはありません。それにもし陛下の御子を授かることができましたら、あなたも、ご実家も、皇族の一員になりますのよ。未来永劫安泰ですよ。」

「……私は、タルゴーヴィ大公さまから過分な財産をいただいておりますし、実家は派手さはございませんが堅いお商売を代々続けております。……これ以上は、何も望みません。」


つい、カチンとして突っぱねてしまった。


皇后さまは不快感を露わにして、おっしゃった。


「ずいぶんと、イズミヌの伯父さまを笠に着られますのね。陛下が悲しまれますわ。」

「申し訳ありません。そのようなつもりはありませんでしたが……。」


それ以上特に申し上げることもないので、私は黙ってうつむいた。


皇后さまも、むすっとしたまま立ってらっしゃったが……しばらくして、埒があかないことにお疲れになったらしい。


「とにかく、陛下のお気持ちは伝えましたよ。この宮殿で……いいえ、このインペラータで、陛下のご意志に逆らうことは、誰も許されませんので、そのおつもりでいらしてください。」


それだけ言い置いて、皇后さまは出て行かれた。

後に残された私は……途方に暮れた。


どうしよう。

……いや、どうもしようがない……か……。


事が事だけに、誰かに相談するわけにもいかず、重苦しい気持ちを抱えて、お勤めを続けざるを得ない。


お食事のときには、なるべく皇帝陛下と視線が合わないようにうつむいて寡黙にやり過ごした。


でも、それって、逆効果だったみたい。

陛下は私への懸想をこじらせてしまわれたようだ。



皇后さまからのお話があってから、わずか数日後の真夜中。


私は、自室で皇帝陛下に襲われた……。


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