エデンは遠くなりにけり 13
朝晩、肌寒さを感じるようになった頃、お義父さまからの書状が届いた。
ジョージオさまに直接お目にかかってお渡ししたかったのだが、……最近では、私がお声掛けするだけで、室内で動物のような咆哮をあげ暴れてらっしゃる。
この日も、不機嫌そのものの声で「来るな!悪魔!」と叫んでらっしゃった。
……悪魔って……私……悪魔扱いなのね……。
たまらないな。
ズキンと痛みが走った……胸ではなく、下腹部に。
うーん……。
さすがに違和感ありすぎた。
意識しないようにしてきたけれど……ずっと生理もないし、まあ、間違いないのだろう……。
たぶん、私、妊娠している。
あの時のマーサさんの勘は的中していたと思われた。
でもこんな状況じゃあ……とても言い出せない。
とりあえず、今度こそちゃんと産んであげられるように細心の注意を払おうと思っている。
本当なら当然、ジョージオさまに真っ先にお伝えすべきなんだけど……聞いてもらえないしなあ。
お義父さまにご報告してみようかしら。
手に持った書状をじっと見た。
……開けて……いいかな。
お返事と一緒にこの八方塞がりな状況を書き添えて、判断を仰ぐのはどうかな。
……よし。
意を決して、私は舅からの書状を開封した。
美しくも力強い字で記されていたのは……何?これ。
てっきり、そろそろタルゴーヴィに帰るように促してらっしゃるのだと思っていた。
でもそれは、私達の住むあの館の改装を許可する書状だった。
改装?
……そんなの、聞いてない。
でもこの書状を読むと……どうやら、ジョージオさまはこれまでのご自分の結婚がうまくいかないのは、あの館の家相が悪いからだとお考えになったらしい。
……えーと……。
これまでの結婚って……私も含まれている……のよね?
うわ……。
想像した以上に、ショックを受けている自分に気づいた。
打ちのめされた。
まさか、そこまで、私がジョージオさまを追い詰めていたなんて……気づかなかった。
さすがに、私は落ち込んだ。
……涙が……勝手にとめどなく流れ続けた……。
***
それからの展開は早かった。
私は、ジョージオさまとの対話を諦めて、お義父さまに書状でご報告した。
すぐに、お義父さまからのお返事が届くだろうと思っていた……ら……、なんと、その夜……というか、真夜中に、わざわざ来てくださった。
……ものすごくびっくりしたけれど……うれしくて……涙が止まらなかった。
ぐずぐずと泣きじゃくる私に、お義父さまは、ただただ謝り、宥め、……私の気持ちを聞いてくださった。




