アルカディアの誘い 14
ジョージオさまは、最初の日だけ、私たちと同じように浜辺で過ごされた。
だが、その夜のこと。
ジョージオさまの白い美しい肌は、まるで火傷を負ったかのように赤く爛れ、膿み膨れてしまった。
駆け付けた近くの医師によると、急激な太陽と潮風に肌が耐えられなかったのだろうということだった。
以来、ジョージオさまは宮殿の奥深くに籠もられている。
……結局、昼夜逆転の生活を再開されてしまった。
おかげで私も夜更かしが続き……夏の潮風は子守歌のように心地よい……。
「……わたくしたちだけでなく、ジョージオにもこの砂浜は最適だと思ったのですけれどね……。」
残念そうにシーシアさまは、砂をさらさらと風に散らした。
「海で泳ぐのは楽しいようでしたが……。」
「う……ん、そうではないのよ。……今回随行されたかたがおっしゃっていたの。海に浸かると皮膚病に効果があって、砂に埋まると体内の毒素を出せるそうよ。」
「砂に?埋まるのですか?」
驚いて、私もまた砂をすくいあげた。
さらさらと小さな音をたてて、金色の砂が風に舞った。
「ええ。埋まるの。おもしろいでしょう?」
シーシアさまは、本気でおもしろがっていらっしゃった。
「……はあ。でも、ジョージオさまは嫌がられると思います。」
そう申し上げたら、シーシアさまは至極真面目におっしゃった。
「嫌がるでしょうね。でも治療だからと言いくるめて強引に埋めるつもりでしたの。……残念でしたわ。」
……嫌がるジョージオさまの反応も込みで、おもしろがってらっしゃるみたい。
「では、シーシアさまも埋まってみますか?」
冗談で申し上げたら、シーシアさまの顔が輝いた。
「埋めてくださるの?うれしいわ。」
「え……。シーシアさま、埋まりたかったんですか?」
びっくりした。
「ええ。でも、独りでは無理でしょう?埋めていただいた後も、お顔に太陽が当たらないように日除けをこまめに動かしたり、飲み物や食べ物を口に運んでくださったり……ずっと誰かがつきっきりじゃなきゃいけないらしいの。……お願いしてもいいかしら?」
これは、本気で砂に埋まってみたいらしい。
「わかりました。私がお世話いたします。」
「うれしいわ。ありがとう。キトリ。では、明日、お願いしますね。」
シーシアさまに念押しされて、私は何度も頷いた。
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