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アルカディアの誘い 6

ジョージオさまは、真っ青になってらした。

私も……気のせいなのか、ズキズキとお腹が痛む気がして……お腹を抱えて丸くなった。


「フィズ……。かわいそうに、フィズ……。すまない。私が、迂闊なばかりに……フィズ……」


子供のようにポロポロと涙を流して、ジョージオさまが私を抱きしめようとしたけれど、主治医に止められた。


とにかく、今は安静に……。

心と身体の傷を癒やすことに専念してください……。


主治医はそう言い置いて、帰って行った。



***


私たちは、処方された薬を飲んで、眠り続けた。

翌日の昼過ぎに、館の執事に起こされて、ようやく目を覚ました。


「大公さまがお見えです。」

「え!?」


ジョージオさまが、文字通り、飛び起きた。

聞けば、こちらの館に大公さまがお越しになるのは、初めてのことらしい。


「大変だ。フィズ。着替えを……」


あわあわしているジョージオさまを制する重々しい声が静かに響いた。


「よい。見舞いと謝罪に来たのだ。……そのまま、フィズどのは、そのまま横になっていてください。」


扉から、沈鬱な顔の大公さまが入っていらした。


「……なんだ。おまえも怪我をしたのか。大変だったな。」


大公さまは、ジョージオさまの手の包帯に気づいて、気遣いの言葉をかけた。

……馬車の事故で怪我をしたのではなく、この館に戻ってからご自分でなさった怪我ではあるものの……ジョージオさまは口をつぐんだまま、泣きそうな顔をしていた。

珍しく、大公さまに心配していただいたことが、うれしかったようだ。


いつも意地を張って、はすっぱなことをおっしゃるけれど……本当は、大公さまに認められたいのよね……。


夫のかわいらしい一面に目を細めていると、大公さまが私のそばにやってきた。

謝罪に来たとは仰ったけれど、先手必勝!

先に、私が謝った。


「お父さま。私の不注意で、せっかく授かりました大切な御子を失ってしまいました。……申し訳、ありませんでした。」

「頭を上げて下さい。フィズどの。そなたに責任はない。……むしろ、昨日も言ったが、して早々に、これの子を孕んでくれたことに感謝しかない。……それなのに、こんなことになって……すまなかった。」


大公さまは、深々と頭をお下げになった。


「父上!」


ジョージオさまが悲鳴のような声を上げた。


「……お父さま……どうか、頭を上げてください。……お父さまがこの件に何の関与もしてらっしゃらないことは、よくよくわかっております。」


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