桃源郷への道 7
★部分を削除しました。
完全ver.はムーンライトにて。
甘いコロンと意外とたくましい腕に包まれて、頭がぼーっとしそう。
とにかくそれだけ伝えようと、顔を上げた……ら……ちょうど近づいてきたジョージオさまの唇が、私の額に触れた。
わー!
び、び、びっくりした!
硬直している私の頬を愛しげに撫でながら、ジョージオさまはおっしゃった。
「誰も、咎めません。むしろ、私たちが仲良くなることを、皆、望んでいるのですから。安心させてあげましょう。」
「……。」
だからと言って、こんな廊下で……キスとか反則だと思うの……。
しかも、こんな……。
……とても、お優しいけれど、深い濃い口づけ……。
もちろん私にとっては、初めての経験だ。
★
両手で、ジョージオさまの両腕にしっかり掴まって、何とか立っていたけれど、それでももう限界……。
ずるりと滑り落ちた私を、慌ててジョージオさまが抱き上げた。
「大丈夫ですか?」
……大丈夫じゃ……ないです……。
ふにゃふにゃになってしまいましたぁ……。
言葉が出て来ない。
「このまま、お運びいたしますよ。しっかり掴まってくださいね。」
ニコッとほほえんで、ジョージオさまは私をお姫さま抱っこしたまま歩き出した。
連れられたのは、客室のあった棟ではなく……もしかして、ご家族のお住まいの棟じゃないかしら……。
「あの、もう大丈夫ですから。下ろしていただけますか?自分で歩きます。」
もし、ご家族のどなたかに見られたら……とてもいたたまれない。
しかしジョージオさまは、鼻歌でも歌い出しそうなほど上機嫌で
「フィズは、本当に恥ずかしがりやさんなのですね。かわいいですよ。」
と、取り合ってくれない。
結局、抱き上げられたまま、ジョージオさまの私室のベッドに運ばれてしまった。
……これはまた……ロマンティックと言うか……。
客室とはまたベクトルの違う豪華な部屋だった。
夢々しいというか、乙女チックというか……白い家具に、天蓋付きのベッドに、むせかえるほどにたくさんの薔薇がいたるところに飾られている。
……なるほど。
お姿だけでなく、趣向も麗しいのね。
ああ、そうか。
昨日からの華麗な食事も、すべて、ジョージオさまの監修のもとで準備されたに違いない。
細やかな気遣いと高い美意識を感じたわ。
「フィズ。かわいいひと。……震えていますね。大丈夫。怖いことは、何もありません。大切に、いたします。」




