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ユートピアからの放逐 16

「もし、不安になったら、書状を送りなさい。タルゴーヴィにだってうちの出店はあるし、お前の兄家族も常駐しているんだ。すぐに駆け付けて、力になってくれるだろう。……半日かかるが、私も、いつでも行くから。」


父の言葉に、私の涙腺が緩んだ。


「……うん。ありがとう。」


涙声に気づいたらしく、父は私の肩をぽんぽんと軽く叩いた。

優しい温かい手に、胸がいっぱいになった。



***********************


休憩1回を挟んで、馬車でゆっくり移動すること5時間。

タルゴーヴィの町が近づくにつれて、賑やかになってきた。


「もしかして、カピトーリより、栄えてるの?」


驚いてそう尋ねたら、父は笑顔を見せた。


「そりゃあ、ここは商人の街だからね。活気があるだろ?……私も、タルゴーヴィに来ると元気になるよ。」


それは父の商人としての矜持だった。


「私も、元気に、がんばるね。」


そう言ったら、父の目が潤んだ。



大丈夫。


縁もゆかりもない、身分違いも甚だしい大公家だけど、向こうから望まれて行くんだもん。

何も卑屈になることはない。

私は私らしく。

強くならなきゃ。


待ってろ!

タルゴーヴィ大公とその息子!


私は絶対、賢妻、賢母になるからね!


絶対!負けない!


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