表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

127/143

夢に楽土を求めたり 9

「それで、お怪我のほうは?……医師は、どのぐらいで床上げできると?」


宰相閣下の質問に、弊衣先生はうーんと唸った。


「深めの傷口が塞がるまで絶対安静と言われましたので、逆に言えば、傷が塞がれば動けるのではないでしょうか。」

「……簡単に仰いますが、化膿したり、悪い菌が入れば厄介ですよ?塗り薬のみならず、飲み薬も忘れずに飲み続けてくださいね。……フィズどの、師はご自身のことには無頓着でいらっしゃる。薬の管理を、どうかよろしくお願いします。」

「……はい。わかりました。気をつけます。」


意外と心配性らしい宰相閣下に、少し驚いた。

それだけ、弊衣先生を大切に想ってらっしゃるということかしら。

……てことは……私、このまま、弊衣先生のおそばで看病してていいのかしら。

やだ。

頬がにやけちゃう。

にまにましてる私を見つめる弊衣先生の瞳がとても甘く優しくて……宰相は肩をすくめた。


「お怪我が治るまで、お控えください……と言っても、無駄ですね。」


宰相は虚しくぼやいた。



***


その夜、宰相は館に留まることなく、すぐにカピトーリに戻られるとおっしゃった。

やはり、お忙しいのに無理してお越しくださったのだろう。


「……弊衣先生とご一緒のときの宰相閣下は、心の鎧を外してらっしゃるんですね。」


やっと宰相を理解できた気がして、お見送りのときに不敬なことを言ってしまった。

宰相は、苦笑された。


「師を慕っています現れでしょうか。……しかし、自宅で甥といるときも、……フィズどのに対しても、鎧など付けてはいないつもりですが……。」


……そうかしら?

確かに、ジランくんとは仲良し家族なんだろうけど、あくまで保護者だし……宰相が心を砕いて頼れる存在って、今は貴重なんじゃない?

……シーシアさまは……今後もそんな存在にしていただけないのかな……。

宰相さまは、肩をすくめておっしゃった。


「本当は、明日もこちらで、ことの成り行きを見守りたかったのですが……先生に仲人を断られてしまい、面目が立たなくなってしまいました。」


……どういう意味かしら?

2人の時間を邪魔したくないから帰るってこと?

なんか違うな。


「あの……急がなくてもよろしいのでしたら、こちらにいらしてはいかがですか?なにも、とんぼ返りされなくても。……宰相さまのお身体のためにも、ベッドで休まれたほうが……。」


一応引き止めてみた。

宰相は少し笑った。


「ありがとうございます。お言葉に甘えてしまいたいところですが、フィズどのの御父君が心配してらっしゃいますので、とりあえず、帰ります。」

「へ?」


思わぬ返答に、気が抜けてしまった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ