ドラゴンと転生者
「で、気がついたらもうこの世界に転生してたんです。」
国立魔法学校、職員室にて自称転生者ケイタは中々に信じがたい話を述べた。
ミーファ、そして俺セナのクラス担任でもある先生も疑念の表情を浮かべていた。
「う〜ん、神様ねぇ…。」
「でも、ケイタのとてつもない力は本物です!」
ミーファがその空気を察知し先生相手に強い口調で言い返した。
「ケイタは、ドラゴンを一撃で倒したんですよ!」
「「ドラゴン!?」」
ドラゴンと言ったらこの国最高峰の魔法使いでも複数人でしっかりと作戦をたてていかなきゃ倒せないような怪物だ。それを一撃で…?
いや、そもそも…
「ドラゴンなんてそうホイホイいるものじゃないだろ!」
「いたのよ!私が昨日隣国でのお茶会からこの国に帰って来る途中に襲われたのよ!そこにたまたまケイタが通りかかって…。」
助けて貰ったと。
いやそんなドラゴンが現れるだけでも相当レアなのにそこにたまたま転生者が居合わせったってそんな偶然あるのか!?
「で、そのドラゴンは今どうなってんだよ。」
「知らないわよ!ケイタがどっか吹っ飛ばしちゃったんだから!」
「吹っ飛ばしたって…!そんなのいくらなんでも無理だ!」
「はい!わかりました!」
先生が手をパチンと叩き、俺達2人を黙らせる。
「そこまで言うなら実際にケイタ君に魔法を見せて貰いましょうか。」
「え?」
「まだ授業までには時間があるしちょっと練習場に行きましょう。いいかしらケイタ君?」
「あ、はい。構わないですけど…。」
ケイタはあっさりと了承してしまった。
正直俺はここまで話を聞いてより信じられなくなってきている。
正確に言うと信じたくないのかもしれない。
ドラゴンを1人で倒せる程の力。
そんなものが存在してしまっていては学校に通い、日々魔法の鍛錬を積み重ねてきた俺は、俺達は、
馬鹿みたいじゃないか。