妄想の、、、何が悪いんすか?
「キッモー。なにあの薄ら笑い」
また言われた。
俺は昨日も聞いた言葉を今日も今日とて無視しまくる。何故、ここまで「キッモー」などと言われるのか、、。それはそう!妄想しまくってるからだ!
妄想は!妄想はいいぞ。なぜなら、心の中で現実では実現不可能なこと、あーんなことや、こーんなことを
リスクなしに頭の中で再現できる!まあ、たしかに
妄想は心の中だけでならばいいが、顔にも出てしまう事も多々ある。俺はその内の一人。いいじゃないか!
俺を罵倒するものを心の中でめっためったに殴り飛ばしたりそうすると幸福感で顔に出る。まあ、、、それが「キッモー」と言われる原因ではあるが、、。
「やあ!お嬢さん!今日も可愛いね。」と妄中直正が言った。もちろん妄想の中で、、、。
現実では、にやけ笑いしながら女の子に笑みを浮かべてるだけだが。
女の子は顔を引きつりこう言った。
「はぁー、、。お前みたいな奴と同じ学校てだけでムカつく。」
毒舌!結構くるよ!それ。だが動じない、なぜって?
俺は四六時中、言われ続けているからさ!
今日も、、今日も。言われた、、、。はあ、、。
こう言われ続けるとさすがに堪えるな。
そう笑いながら夕焼けをバックに帰る一人の男、妄中直正。
「ここは、、、公園?」
おかしい、ここには公園はないはずだ。ここはたしか、パン屋さんだった、、だったはずだ。
とりあえず、家に帰ってもやることないので公園でブランコでもやるか、、。
「あら、こんにちは。」
そう優雅に言ったのはツインテールで赤毛の女の子、、服装は、、まるでピエロのようだ。
「こ、、こんにちは。」反射的に返した。
女の子は少し頷くと、
「あなたの心の中って、、いい感じよね。」
ん?と直正は呆気にとられた。急すぎるとかそうじゃなくて、その言葉が出ること自体が意味不明だからだ。
「えーとー。まあ、遠回しに言うのもなんだし直球で言うけど〜。あなたって妄想とか好き?」
近い近い近い近い!顔近いってお嬢さん!現実で、女の子と話したこともない人間に、、。非モテ男子に。それはきついよ!
「顔真っ赤になってるの?可愛いね」
少し息を整えて、直正は聞いた。
「それで、俺に何のようですか?」
「聞いてない、、。」
へ?と返事をした。
「だから、さっきの質問の答えがまだ返ってきてないの。あなたは妄想とか好き?好きじゃないの?」
少し怒った顔になったがもはや怒ったか見分けがつかないほど可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛いやばい可愛い、おっと、俺のくせで可愛いがすぎた。
「妄想ですか、、ま、まあ、、好きですよ?す、、き、、。」
うんうんと頷き、よしっと何が「よし!」か分からないが、俺をその細い腕でお姫様抱っこし、ブランコに乗り出し、物凄い勢いで回転して行くやがて、それは高速を超えて、音速を超えて、、俺の意識は、、どっかに消えていた。
「な、おまさ」
ん?何か聞こえる?これは一種の走馬灯だろうか。
だんだん近づいてくる。
「直正!!!」
まるで雷に打たれたような声で、反射的に「はい!」
と返事をして、起きた。
「やっと起きてくれた。はあ、安心安心。」
形の良い顔を緩めて、安心した表情をする女の子に俺も安心した。
だが、安心は束の間の休息でしかなかった。
「ふっふっふっー!よく来てくれた。直正よ!」
「ふっふっふっー!って今日日聞かねえな。」
少し軽めのツッコミをした。
と、周りを見ると街の、、どま、、ん中って、、
「おい!」
周りにいる人達が直正達のことを指差し笑っている。
嫌な状況だ。まるで学校を思い出すような、、。
「話があるなら、どっか別のところで話をしようぜ。」
直正はてっきり女の子が横にいて話をしてくれてるのかと思っていたが、女の子は、上にいた。直正の頭上にあるとても大きな噴水のてっぺんで。
「ふーん、別の場所で話をしようだなんて。この世界に来て、初めてのくせによく大きな口を叩けるわね。」
直正は聞いた。
「この世界?」
「そう!」と噴水のテッペンで飛び、
「この妄想の世界 幻影領域で!」
直正は、呆気にとられて、やるせない表情でこう思った。
「あぁ、神様どうか、俺の結末が妄想で終わりませんように、、」と。