レジ係と後輩
ーとあるドラッグストアにてー
レジ係:
「あ、後輩ちゃん。ピアスは外してって言ったじゃない」
後輩ちゃん:
「えー、でも今日のはハイビスカスの奴ですよ」キラーン
レジ係:
「(全然関係ないし……)いいから、外しなさい」
後輩ちゃん:
「はーい……(ちぇっ、貧乳おばさんめ)」
レジ係:
「(ニコリ)あら、何か言ったかしら?」
後輩ちゃん:
「い、いえ、何も言ってません。何も言ってませんとも!」
レジ係(:
「うふふ、ならいいんだけど」
後輩ちゃん:
「(心の声が聞こえるのかな……流石だわ、先輩)」
レジ係:
「あ、お客様だ。いらっしゃいませー」
後輩ちゃん:
「いらっしゃいませー」
常連客のおじさん:
「やー、元気でやってるかい?」
レジ係:
「あら、お久しぶりですね」
後輩ちゃん:
「あ、おじさんじゃん。やっほー」
レジ係:
「いやいや、後輩ちゃん。お客様って分かってる?」
常連客のおじさん:
「はっはっ、いいんじゃよ。後輩ちゃんも大分レジ係が板についたように見えるな」
後輩ちゃん:
「いやー、まだまだっす。まだ、先輩には遠く及ばないんだわー」
常連客のおじさん:
「はっはっ、まあ、この子は凄いからのぅ。目指すのは無理じゃ。諦めなさい」
後輩ちゃん:
「えっ!?まさかの諦めなさい!?」
レジ係:
「今日も”いつもの”ですか?」
常連客のおじさん:
「おう、その通りじゃ。いつも悪いのぅ」
レジ係:
ごそごそ……「はい、あんまり食べすぎちゃ駄目ですよ。摂りすぎると下痢しちゃうから」
常連客のおじさん:
「ほっほっ、心配するな。最近便秘じゃからな」
後輩ちゃん:
「下ネタじゃん……」
レジ係:
「6264円です」
常連客のおじさん:
「ほれ、1万円」
レジ係:
「はい、じゃあ3千円と……736円のお返しです」
常連客のおじさん:
「はい、ありがとね」
後輩ちゃん:
「それ、何なんです?いつも気になってたんだけど」
常連客のおじさん:
「……内緒じゃ」
後輩ちゃん:
「内緒!?」
レジ係:
「内緒よ」
後輩ちゃん:
「えー、二人して意地悪!!」
常連客のおじさん:
「はっはっ。ここは賑やかでいいのぅ。じゃあの、また来るわい」
レジ係:
「ありがとうございましたー」
後輩ちゃん:
「ばいばーい。じゃあねー」
おじさんは店を出ていった。
後輩ちゃん:
「(こそこそ)で、何なんですか。あれ?」
レジ係:
「食べる育毛剤よ」
後輩ちゃん:
「食べる育毛剤!……って何ですか?」
レジ係:
「”一日6錠食べるだけで、フサフサの髪が手に入る。これで貴方もモテモテに!”らしいわよ」
後輩ちゃん:
「何ですか……その胡散臭いの」
レジ係:
「なんか、美味しいらしいわよ。イチゴ味だって」
後輩ちゃん:
「へー、一個だけ食べたいです。先輩、ください」
レジ係:
「何で私が持ってるのよ。店長に言いなさい。あの人も愛用者だから」
後輩ちゃん:
「えっ、でも店長フサフサですよ。こんなの使う必要なんて……」
レジ係:
「あれ、カツラだから」
後輩ちゃん:
「えええええええええええええ!?マジ!?」
レジ係と後輩 ー終ー