予備校の次は豪邸で缶詰や
3日坊主達成!!よく頑張ったぞ自分。
呼吸することすら苦しい背中の痛みで目が覚めた。
ーー次の瞬間
オレの右手の小指が鈍器で叩き潰された。
「アアアァギィアガァーーーー」
叫ばないと意識がすぐに持っていかれそうな激痛
と共にオレはのたうち回ろうとするがそれも叶わない。
全身は拘束され左足の腱はすでに切断された上で止血されていて、そのことからオレを今から
生きたまま苦しめようとするオレを拘束した側の意図が透けて見えた。
「目覚めました。如何されますか?ルージュ様」
目の前には真紅の瞳に燃えるような赤色の髪を
後ろに束ねてただずむ若い女性がいた。
「 捨て置きなさい。これはただのスケープ
ゴートよ。カカシをいくら叩きのめそうと
ブランの仇は打てないわ。」
そして少しうつむいてから女性は続けた。
「あなた随分と変わった身なりね。それに
弱い。どうやってこの屋敷に侵入した上に
あの子の前にまでたどり着けたのかは興味深いわ。」
ーー教えて頂戴ーー
鈍く彼女の瞳が光った。
そして彼女は目を見開き言った。
「あなた転生者だったのね。すると刺客は
異界への干渉が既に高い次元でなされている
とでも言うの!?」
彼女は再び俯いて思考の中に沈んだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
どういうことだってばよ?
それがオレの第1の感想だ。
どうやらオレは異世界に何者かによって召喚された挙句に白い美少女を殺めた犯人に仕立て上げ
られたしまったらしい。
というか小指と足を早く治してほしい。
もはや感覚のない小指はともかく左足の腱を
切られたのは地味に痛い。
ここは勝負所だ。オレは既に相手側になんの価値もない捨て駒だと彼女が分かっている以上黙っていても処分されるのがオチだろう。
何せオレは彼女のおそらく大切な人だった人間の殺しに利用されていたとはいえ加担していたのだから。
そこで意を決してオレは口を開く。
「見たところ異世界に関心のあるご様子ですね。
話を聞くところ私は異世界から転移してきた者、
私の知る情報で良ければ何なりとお使いください。」
バイトすらしたことのないニートのうろ覚え敬語
でオレは精一杯の自分の利用価値を彼女に主張する。恭順の意思も含みに入れるため相当へりくだって言った。
死ぬのはもちろん嫌だし、これ以上痛いのも
ゴメンだ。ならば道は一つ。この真っ赤な女王様
の奴隷にでもなんでもしてもらう方がマシだ。
するとルージュはこちらを見もせずに言った。
「あなたの記憶は全て覗いたわ。ただの少し
悪知恵がはたらくだけのぬるま湯に浸かり慣れた
ブタが私に話しかけないでほしいわ。」
そして踵を返して立ち去ろうとしたとき再び
動きを止めてこちらを見た。
その瞳には煌々と真紅の光が灯っている。
「喜びなさい。あなた、私の駒にしてあげる。」
そう言うと彼女は右手でピースサインをして
オレの両目に指を突っ込んだ。
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