いや、本当にリアル最強の呪文だから
2話目じゃああーー
どんどんかいてくでええーー
別に本当にトイレに行きたかったわけじゃない。
ただあれはマジもんの魔法なんだ。どんな修羅場
からもオレを救ってくれた呪文なんだ。
少し昔話をしよう。
まだオレが中学生だった頃、部活で立ってるのも
しんどいときにはよくこの呪文を唱えた。
するとどうだろう。みんなが片目をつぶって見逃してくれるではないか。
いわばこれはリアル最強の離脱魔法と言えよう。
だからオレはこの危機的状況でも落ち着いていた。焦りはなかった。オレはただ唱えるだけ。
「トイレ行っても良いですか?」
呪文を唱えた直後オレは勝利を確信した。
決まった!これで人目を気にせず脱出できるぜ。
そう思っていたーー
「クッっ、」
だがメイドはオレのリアル最強呪文など聞いちゃ
いなかった。
一瞬で美少女の元に移動すると止血を試みたの
だろうか。自分の服の袖をちぎって血の出所を
探そうとしてそのまま動かなくなった。
まぁそうだろう。
誰の目から見てもアレはもう死んでる。
何にせよメイドを振り切るのには骨が折れそう
だったので奴が動かないでいるうちにトンズラ
しようと思い踵を返した直後ーー
背中にとんでもない衝撃が走った。
ーーそこでオレの意識は途絶えた。ーー
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