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葉子と夏  作者: 結姫普慈子
第一章 開かれたゲート
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7. ゴシックロリータ

 入り口に立って喫茶店の店員と話す葉子の姿はピタッと身体の線が見える黒が印象的のゴシックロリータの洋装だった。いつもと違う化粧をしており、唇は真紅だった。

 そしてこちらに歩いてくる。

「こんにちは、宮子ちゃん、それに雅」と笑顔を浮かべて葉子は言った。

「あ、どうもはじめまして私が妹の宮子です。よろしくお願いします」と宮子は言ってペコリと椅子の上で頭を下げる。

「よろしくね、宮子ちゃん。お兄ちゃんの初めての彼女です」と葉子は言い両手を膝の上に置いてから腰を曲げて頭を下げる。その時、葉子のラベンダーの香水の匂いがした。

「すっごい綺麗な人ね、お兄ちゃん」と宮子はやや驚いた表情で言う。

「今日は一段と綺麗だ。学校での葉子とは全然違う。化粧か?」と僕が言ったらパシンと宮子に頭を叩かれる。

「どうぞ座って下さい。なに頼みますか?」と宮子が言うと葉子は椅子に腰を下ろして、

「そうね、アイスコーヒーにしようかしら」と言ってから僕の方へ向き笑顔を浮かべる。

 なんだかその笑顔は魔女のように思えた。遠くでタバコの匂いがしてくる。熱く燻っている匂い。

 その匂いが葉子の香水の匂いと混ざり合って僕たちの周辺は一種独特の趣を呈していた。



 アイスコーヒーが運ばれてくると葉子はそれを飲みながら話し続ける。

「実はね、私、前から雅のこと好きだったのよ。だからあなたから告白してもらってとても嬉しかった。それはもう月にのぼるくらいに」

「お前はかぐや姫か?」

「私の服装を見てわからない?」

「は?」

「私の服装よ」

「う~ん、ゴシックロリータってやつだな」

「そうよ」

「わかった月の使者でしょ」と宮子が言う。

「冗談よ、これはただのファッション。私はただの人間よ、ごめんなさいね宮子ちゃん」

「そんなん当たり前やんけ」なんだか僕は関西弁が出てきた。「葉子はこういう破天荒なところがあるんだよ」

「前々からゴシックロリータには興味あったんだけど今日はデートじゃない?だからとっておきのをと思ってね」と葉子は言う、たしかに葉子のその服装はとても自身と似合っていた。

 普段のセピア色のオーラがこの時には現実には存在しない銀色のセピアになっていた。


「それで今日のデートなんだけど、例のゲートに行ってみない?」葉子が不意にそう言った。

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