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葉子と夏  作者: 結姫普慈子
第一章 開かれたゲート
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6. 喫茶店

 宮子は僕の部屋に戻ってくるとその姿はおひさまの色の腰までのワンピースと鮮やかな植物の葉のような緑色の膝までのスカートを着てきた。

「どう?お兄ちゃん似合ってるでしょ?」宮子は僕の部屋のちょうど真ん中でクルリと一回転する、スカートがもわわっと盛り上がって揺れる。「お兄ちゃんも早く着替えちゃいなさい」

「言われなくても着替えるよ」と僕は言って洋服棚まで行くとグレーのTシャツとジーンズを取り出すとそれに着替える。

「お兄ちゃんはいつも通りね」宮子はそう言ってまじまじと僕を見る。「正直、ダサい・・・」

「ダサいか?別に普通じゃないか?」

「お兄ちゃんの普通はもうダサいのよ。高校生でしょ?もっとお洒落したら?葉子さんに『うわっダッサ雅』なんて言われたら嫌でしょ?」

「葉子はそんなこと言わないって、頼むから怖いこと言わないでくれよ」僕内心ドキドキし始めていた。

「だったら普段からもっとお洒落になっておきなさい。いい?お兄ちゃん」

「わかった、わかった」

 そんなことを会話しながら僕らのデートはスタートした。恋人とデートをする前に妹とデートをするだなんて一体誰が考えたのだろうか、この劇の作者に僕は言いたい。僕が好きなのは葉子だけだと。



 待ち合わせ場所の駅前の喫茶店で葉子を二人して待っている。僕と妹の宮子だ。なんだか成り行きでこうなってしまったが僕はいつ葉子が来るのかとドキドキと嬉しさで胸がいっぱいだった。

「ねぇ、お兄ちゃん。葉子さんはどんな人?」

「顔は結構綺麗だな。普通っちゃ普通の顔なんだがよく見ると雰囲気がセピア色で輝いている」

「ふーん、今時のギャルじゃないんだ?」

「そうだな、ちょっと古風っていうか破天荒なところがある」

「お兄ちゃんと深夜まで外でぶらついてたもんね、確かに破天荒」宮子は氷の浮いたオレンジジュースをストローでちゅるちゅるーっとすする。「あぁ、店の中は涼しいねえ」

「そうだな、そろそろ来るんじゃないか?」僕もミルクティーを飲んでいると喫茶店の入り口のドアが開いた音がした、カランカランとドアについた鐘が鳴る。「あ、あれが葉子だ」

「どれどれ?」と宮子は入り口を見つめる。

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