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葉子と夏  作者: 結姫普慈子
第一章 開かれたゲート
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2. 葉子には気をつけて

 その日、といっても今日であるが僕たちはお互い部活動はやっていなく授業が終わったあとの教室で手荷物を引き出しから取り出しそれをカバンに入れて帰るところであった。

「ちょっとトイレで口紅を直してくるから待っていて」そう葉子は言って教室から出ていった。

 そうして僕は自分の席に座って葉子を待っていると一人の女生徒が近づいてきた。

 女生徒は体操着を着ており、半袖の白いTシャツには胸のふくらみが僅かだがあった。僕はその胸のふくらみを見つめているとその女生徒は「ねぇ、あなた葉子ちゃんの彼氏だよね?」と聞いてきた。

「そうだけど、葉子に聞いたの?」僕はそう言うとその女生徒はにっこりと笑い隣の席に腰を下ろした。そして椅子をキーキーと動かすと僕の直ぐ側まで来て僕の目と彼女の目をあわせた。

「そう、葉子に聞いたの。君、名前は?葉子に名前は聞いたんだけど忘れちゃってさ」と笑いながら言う彼女はやはりモノクロームの写真のようにどこかコリコリと固まっていて放課後の教室にはその白黒の意識や夢の形の残骸みたいなものがあって僕はなんだかセンチメンタルになる。要するに彼女は僕の恋人の友達であり、僕とは他人なのだ。

「僕の名前は波止雅はとみやびだよ。よろしくね」この瞬間、モノクロは融解し僕らは知り合いになる。放課後の夕暮れ前の教室は僕とその知り合いの二人きりであった。開けっ放しの窓からやや暖かい風が入ってくる。僕は眉間に汗をかきはじめる。

 そうしていると彼女は目を逸してから「よろしくね」と言って右手を差し出した。僕はその手を握ると彼女は直ぐにその僕の手を引っ張ってそうして僕を更に彼女の元に来させると耳元で彼女の小声で「葉子には気をつけて」と言った。

 そして手を離した時、彼女はその体操着の姿のまま教室のドアへと進んでいく。ドアの前に着くと彼女は。

「そうだ、私の名前は園田真理そのだまり。私の言ったことは覚えておいてね」そう言って彼女は教室から出ていった。

 僕はため息をつくと、深呼吸をする。なんで葉子に気をつけなければいけないのだろうか、まあ良い、この話は置いたままにしておこう。

 それから程なくして葉子が帰ってきた。

「おまたせ、それじゃ帰ろうか雅」今度は葉子は深い紫色の口紅をしてきた。ちょうど葡萄の皮のような色だった。僕はなんだかキスをしたくなってきた。葉子は微笑む。

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