12. 書き途中の別世界
やがて私達の教室へと生徒たちが少しずつ増えていった。その度に私と雅は意味ありげな目線を通わせるが、それも七人を過ぎるとしなくなった。
私達の朝の時間がなくなっていった。段々と教室がざわめきに包まれていく、それはまるで二人だけの世界から私達の子供たちが生まれて仕方なしになくなる世界のようであった。先に私達がいたから、ただそれだけで子供たちは増えていく。なんだか不思議めいたことを私は考えている。
まあ、どうでもいいや。
園田真理も朝練を終えたのか(先程はサボっていたが)戻ってきて自分の席へと腰を下ろす。
私は今日のことを考える。7月13日の金曜日。13日の金曜日である。
今日は二つ、大事なことがある。雅とのデート、それと・・・。
場所はどこにしようか、東京の一番高いビルがいいかな、と考えていると先生が教室へと入ってきた。
「おはようございます」とみんなは席にキチン着き、そして背筋を伸ばして挨拶をする。それに対し先生は、
「おはようみんな」と言った。「最近めっきり暑くなってきて大変だろうけど、授業頑張るんだぞ」と先生は言う。
私は正直、授業なんてどうでもよかった。だって授業をしていると、早くエアコンの冷風に当たりたくなるのだから。この学校にはエアコンがある場所は限られていて、それは授業が行われる教室ではないからだ、だから授業なんてどうでもいい。
私はノートとペンシルを取り出すと、ノートに絵を書き始めた。実は書き途中の絵だった。
誰の絵だと思う?それか何の建物の絵?
それとも、もしかして私の今日の二つ目の用事の件だと思う?
私が書いているのは別世界だった。それが書き終わるとゲートが開くの、「ふふっ、不思議じゃない?」。
気がつくと先生は教室から去っていっていた。さて一時間目の授業はなんだろうか。と私は壁に貼られた時間割を見つめる。一時間目は国語だった。