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葉子と夏  作者: 結姫普慈子
第二章 前日
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10. 2018年7月13日金曜日の東京

 2018年7月13日金曜日の東京。

 私、砂先葉子すなさきようこは朝食を摂っていた。今日の朝食はパスタである。村上春樹の小説ではないが、ただ今朝早く起きた時にパスタが食べたくなり、そしてパスタを茹でてからそれにベーコンと大蒜、赤唐辛子につまりペペロンチーノを作った。

 仕上げにこの世で一番の辛いソースをかける。海外から輸入したソースであった。

 それをフォークですくって食べる、つまりパスタの麺を。歯で噛むとプツリと噛み切れてそれから大蒜の香ばしさと辛味で舌がヒリつく感触を楽しむ。

 今日は何かの予感があった。なんの気もなしにテレビの占いコーナーを見つめていると私の星座である魚座はビリッけつの12位だった。それを見て私は「ふふふ」と笑う。

 エアコンの微風にのりレースのカーテンが揺れる。

 父と母はこれから起きてくるだろう。私はその前に学校に行くことにした。

 もう制服には着替えてある。

 パスタを食べ終えると洗面所に向かい歯磨きをして、それから洗顔で顔を洗う。

 そしてラベンダーの香水、を首元と腰につける。この香水はラベンダーの香料で出来たパルファムであり、私の身体での持ち時間は12時間程であった。トップノート、ミドルノート、ラストノート、その全てが同じでありラベンダーであった。

 これから12時間。私はスマートフォンを制服のポケットから取り出し時刻を眺める。

 液晶には6時20分と表示されていた。

 それから私はショルダーバッグを手に取り玄関の外に出る。

 

 外は暑かった。




 学校に着くとまだ教室にはだーれもいなかった。私はバッグから教科書や筆記用具を取り出すと机の中へといれる。

 しばらくすると友人の園田真理そのだまりが教室に入ってきた。

 園田真理は部活動の朝練をやっていたのか体操着の姿でやってくる。

 額には汗をかき体操着はその汗をかいた真里の身体に張り付いていた。

「おはよう、葉子」

「おはよう真里。早いのね」と私が言う。

「葉子こそ部活動もないのにすっげー早いじゃん」

「今日ね、実はあることが起きるの」

「あること?」

「そう、それも世界中に知れ渡ること」

「それは楽しみだな、葉子。私にはそれは今は教えられないのか?」

「そうね、明日にはわかるから楽しみしていて」

「わかった」

「教室には何をしに来たの?授業もまだだし、部活動もまだ途中じゃなくって?」

「サボりだよ、サボり。教室で本でも読もうと思ってな。図書室もまだ空いてなくて」そう言って真里は自分の席に座り机の中から文庫本を取り出す。

「何読んでるの?」と私が言うと真里は文庫本を持って私のそばにきてその本を私の机の上に置く。

 タイトルは「神々の白紙」と書かれていた。

「ねえ、真里。どんな本なの?タイトルは『神々の白紙』みたいだけど、もしかして白紙の本?」と私が聞く。

「いいや、ちゃんと活字が並んでいる。神様がいない世界の話なんだ」

「へぇ、面白そうじゃない」

「うん、中々面白い」と真里は言うと私の前の席に座りその本を読み始める。


 やがて教室に雅が現れた。

 

 私の好きな人。

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