第1話 俺死んじゃいました②
「近衛 晶さん! あなた異世界に行ってみませんか?」
天使は意気揚々と俺に告げた。
異世界―――
それってアレ?ゲームやアニメの中によく出てくるやつ?エルフやドワーフ、ドラゴンとか俺の世界では絶対に存在することがないような奴らが普通に存在する世界のことか?
俺は異世界と聞いてゲームやアニメでよく見た世界観をすぐさま頭に思い浮かべた。
「だいたい近衛さんが思い浮かべたような世界観であってますよ! 流石にドラゴンなんかは危ないので滅多に見れるものでもないですけどね。」
天使は少し困ったように笑って俺の疑問に答えた。俺は素直に驚いた。
「俺の考えてることが分かるんですか?」
「まぁ私、天使なので!」 ドヤァ
わかりやすくドヤ顔してきたなこの天使。
「そんなことよりも、異世界って本当に存在するんですか? それに俺なんかが異世界に行っても生活出来るんですかね?」
天使のドヤ顔をスルーしながら俺は次々と浮かんでくる疑問を聞いてみた。
「まず、最初の質問はYESです。私達はこの世界の他にも、いくつかの世界を管理しています。そして、過去にも何度かあなたのようにこちらの予測していない死者の方がやってきました。その度に私達は異世界転生を進めてるんです。」
いや、過去にも俺みたいな人がいたのかよ。その人たちからしたら死んだのに手違いですって言われて異世界転生させられるって、、、訴えたらこれ勝てるよね? ちなみにこの場合裁判はどうなるんだろ?民事?刑事?
あ、そもそももう死んでんのか。
色々と関係の無いことを考えていると天使は2つ目の質問に答えてくれた。
「2つ目の質問は結論から言って大丈夫ですよ!転生する際にその世界の基礎知識、最低限のお金、さらに――」
「さらに?」
「異世界転生する方にはなんと!なんと!ランダムでこちらから超すごい特殊能力も差し上げます!!」
――特殊能力!!
そのフレーズを聞いた時俺の心は一気に高鳴った。マジか!そんなゲームの主人公みたいになれるなんて夢にも思わなかった。
「ほ、本当に俺が特殊能力を使えるようになるんですか?」
「はい!なります!どうです?異世界転生してみますか?」
ここまで聞いて逆にNOなんて言うつもりは俺のなかにはもう少しも無かった。
「はい!俺、異世界転生したいです!」
「そうと決まれば早速あなたの能力を見てみましょう!」
そう言って天使は俺に能力を伝えた。
「近衛 晶さんの能力は従者召喚! 様々なモンスターを召喚、使役出来る能力です!」
召喚術キターーーー(*゜▽゜*)
召喚術!! ヤベぇ! 響きだけでもうかっこいい! てことはアレかな?ドラゴンとかも召喚出来るのかな?
「あぁ、能力にもレベルがありますのでレベルを上げないといけません。レベル1から急にドラゴンなんかの高レベルモンスターの召喚はできませんね」
天使はまた俺の心を読んだらしい。そうか、レベルか。ゲームみたいで俄然やる気が出てきた!
「ん?でもそれなら召喚術って最初はどうやってモンスターを召喚するんですか?」
「そこは安心してください!最初のモンスターは私の力であなたに1番縁が繋がっている
ものがモンスターとして召喚されます。」
「縁が繋がる、、、つまり生前飼い犬と仲が良かったら犬関係のモンスターが出てくるってことですか?」
俺は考えついたことを口にした。
「その通りです!近衛さんの場合はゲームやアニメ関係のキャラなどが出てくる可能性があります。」
「マジっすか!!」
「マジです」
天使の言うことが本当なら今まで遊んできたキャラクターと冒険出来るかもしれないってことでしょ?
すごい!それはすごい!やろう!早速やろう!
「それでは早速、、、召喚を開始します。」
そう言うと天使は自分の手を俺の手に重ねてきた。その瞬間俺と天使の足元に大きな赤い魔法陣が現れた。
「その牙は我の矛に、その体は我の盾に、我と運命を共にするのなら、その力我に示せ」
天使が召喚の呪文を唱え出すとそれに呼応して魔法陣の輝きがより強くなっていった。
ヤベぇ、どうしよう超カッケェ、、、
魔法陣の輝きが恐らく最大まで来たのだろう。次の瞬間、強い閃光と共に俺と天使の間に何かが現れた。
おぉ、これが俺の初めての召喚獣、、、初めてのモンスター、、、どんな奴だろう?
閃光が弱まり俺と天使の間に居るモンスターの姿がハッキリした。
黒く艶のある長い髪、クリっと大きくも威圧感を感じない優しい瞳、全体的な雰囲気が儚げで少し触るとポキリと折れてしまいそうな印象を受けてしまう。
えっと、、、ウーーん、、、あれ?俺、色んなゲームやアニメに手を出したけど今まで遊んできた奴にこんなキャラいたかな?確かに凄く綺麗だけど服装も普通だしこれといった特徴もないよなぁ。
凄いモンスターが出てくるものだと思っていた俺は戸惑いを隠せずに天使の方を見た。しかし、天使は何故か俺の方を見てくれない。それどころか何故か真っ青な顔で汗がダラダラだ。
とりあえず俺は真ん中に居る女の子に声をかけて見ることにした。
「あのー、、、君はいっt、、、」
「アキくん?」
彼女はとても驚いた顔で俺を見つめながらそう言った。
え、知り合い?いやコミュ障な俺にこんな美しい知り合いは断じていない!、、、なんか言ってて悲しいな、ハハッ、、、
「えっと、もしかして僕達って会った事ありますか?俺多分覚えてないみたいで、、、」
「いえ、私達は会ったことは無いです。」
会ったことは無い?それなら彼女の俺を知ってるみたいなリアクションは一体、、、
そう考えていると恥ずかしそうに頬を赤らめ、彼女は俺に自己紹介を始めた。
「私の名前は高坂 紅音。恥ずかしながらアキく、、、晶くんのストーカーをやらせて頂いています。」
彼女の言葉に俺は耳を疑った、、、
皆様こんにちは。マジ卍本能寺です。2話目にしてやっと奴の登場です。長々と引っ張ってすみません。凄いですね晶くん、、、まだ異世界にも行ってません。ダラダラと長いお話ですが是非暇つぶし程度に次をお待ちください。