第六話 超能力の発現!
オレは、自分の身に起きた不思議な現象を真昼達に説明し始めた。
最初は、自分の考えなのかと思って黙っていたが、どうにも別人の考えらしい。
硬派なオレには、想像もできない内容を含んでいた為だ。
「実は、オレの頭の中で声がするんだ。
声は、真昼さんや内藤さんの声らしいんだが、二人は声を出していない。
その後、音声が遅れたように二人が喋り出すんだ。
この現象は、何なのだろうか?」
オレの上手く説明できない言葉を聞き、真昼は一瞬で理解した。
内藤さんは、全く理解できないようだったが……。
「それは、もしかしたらテレパシーかもしれません!
超能力が発現する可能性もある程度考慮していました。
なるほど、面白いですね。
アタシの考えを送ります。
その言葉を、そのまま復唱してみて下さい。
では、実験スタートです」
真昼は自分で考えた言葉をオレに伝える。
オレは、その言葉の通りに復唱した。
「今日は、真昼さんの為に、デザートとしてケーキとプリンを食べさせてあげよう。
もちろん、オレの奢りで!」
オレが復唱すると、真昼がすかさずこう言った。
「あら、ありがとう!
有り難くデザートをご馳走になるわ!
さっさとスーパーマーケットに出かけて、適当なケーキとプリンを買ってきて下さいな!」
「な、いや、復唱しただけなんだけど……。
そんなこと思ってない……」
「酷い!
折角期待していたのに……。
男気のない男ね!」
「分かりましたよ!
二人で買いに行きましょう。
好きなケーキとか知りませんから……」
「凄いな、この短時間でテレパシーを使い熟していやがる。
さすがは、真昼ちゃんだ!」
オレの能力なのに、真昼の方が使い熟していた。
オレはといえば、他人の心の声が聞こえて気分が悪くなっていた。
真昼(ふふ、ケーキとプリンゲット!
ちょろいもんね!)
内藤(心の中まで読めるのか。
じゃあ、私がエロい事でも考えたらわかるのか?
今日は、三人一緒で寝るなら、3Pできるな! とかも読まれるのか?
どうするよ、迂闊にエロい事も考えられねえ!)
真昼(ふう、それにしても三人でここに住む事になるわけか。
旭君は仕方ないにしても、内藤のオッさんは邪魔ね。
旭君の同級生でスタイルの良い女の子がいないかしら?
そうすれば、危険が分散されるわ!)
内藤(真昼ちゃんも可愛いけど、スタイルは微妙なんだよな。
多分Bカップくらいだろ。
旭君の知り合いで、Dカップ以上の美少女はいないかな?
底辺高校は、スポーツ推薦もしているから、スタイルの良い女の子も多いだろ?
水泳部とか、陸上部、バレーボール部あたりで誘ってくれよ!
女の子が一人じゃあ可哀想だから、一緒に生活しないか? とか言ってさ!)
真昼と内藤は、テレパシーでオレにそう訴えかけてくる。
内容は同じだが、想いは人それぞれだった。
オレは、敢えて二人に同じ内容である事を伝える。
「二人とも、全く同じこと考えていますよ!」
真昼(うえ、同級生の女の子を探してるって事かしら?
内藤さんは、キモいわね。
もう実験の失敗を理由にクビにして貰おうかしら。
上層部ならそれとなく処理してくれそうだし……)
内藤(ははん、真昼ちゃんも照れてるって事か!
内藤さんはナイスミドルでカッコイイけど、四六時中一緒だと緊張しちゃうわ。
誰か、他にも夜の相手をしてくれる美少女はいないかしら?
そんなところかな?)
内容が全く異なり、あらぬ誤解が生じ始めていた。
このままでは真昼が危ない!
オレは、意見が食い違っている事を告げる。
「ちょっと意見が分かれました。
お互い真逆の事を考えていますよ」
真昼(え、真逆の事を考えている?
まさか、このジジイ、アタシの研究を取り上げる為に、アタシをクビにする気じゃあ……。
クレームマスターらしいけど、実際には暗殺部隊という事かしら?
不味い、何の対策もできていないわ!)
内藤(真逆の事を考えているという事は、真昼ちゃんは私と四六時中一緒にいたいという事か?
私が間違っていた。
これからは四六時中、朝昼晩と一緒にいてあげよう!
もう、他の女の子に目移りすることも出来ないな!)
誤解がヤバイ方向へ移動し始めた為、オレは話題を変える事にした。
体調不良を訴え、何とかして貰おうと試みる。
こうした変な言葉が絶えず流れてくるのだ。
オレの疲労がピークに達しているのも事実だった。
「すいません、真昼さん。
折角のテレパシーですが、気分がかなり悪くなりますので、何とか止めてくれないかな?
絶えず心の声が聞こえてくるんだ」
一時間も心の声を聞いていれば、頭痛がしてくる。
さすがに、絶えられなくなってきていた。
「うう、気持ちが悪い!
頭がガンガンし始めてきた。
真昼さん、何とかなりませんかね?
さっき飲んだ薬が原因ですよね?」
(ちっ、小一時間程度で根を上げるなんて根性ねえな!)
内藤のムカつく声が響いてくるが、そんなものに構っている余裕はない。
早めに対策をしてもらわないと、倒れてしまうかもしれない。
オレは、真昼に苦悶の表情で訴えた。
「ああ、やっぱり絶えられないか。
うつ病の初期症状と同じようなものだからね。
うつ病でも他人の悪口が聞こえてくるというから。
うつ病は、実験によって真実を見抜く事ができるとも言われている。
それが多少強くなって、テレパシーにまで発展しているのかもしれないわね。
だからうつ病を治す薬を処方する事で止まると思うわ。
テレパシーをコントロールする方法を検討するから、しばらくはこの薬をお飲みなさい。
はい、あーん!」
真昼の手により、オレは頭痛から解放されるはずだ。
これは、一時的な処方に過ぎない。
真昼は、テレパシーを制御する訓練をさせる事にした。
テレパシーによって、人の心がどの程度の距離まで読めるかなどを調査して、対策を練るようだ。
「今日の午後は、アタシは訓練内容を検討するわ。
あなたは、夏休みの宿題でも終わらせなさい。
内藤さんもいるし、多分驚くほどスムーズに勉強ができると思うわ。
超能力が使えるという事は、それだけ脳が進化しているという事だからね!
まずは、スーパーマーケットに買い物デートと行きましょうか?」
「うん、分かったよ!」
(ふん、気を許したと思うんじゃないぞ!
ただ単に、デザートを選べるから機嫌が良いだけだからね!)
真昼と内藤は、全く同じ内容を考えていた。
それをテレパシーで読み取り凹んだ。
その後、薬が効いたのか、テレパシーの声は聞こえなくなった。




