魔族
「な、な・・・魔族!?」
同行していたトールは目を見開いて呟いた
魔族は人魔戦争以来人間の前に姿をあらわしたことはなく、姿を見たという噂も、眉唾物の話を覗きないのである。もちろん情報が多く集まるギルドの職員であるトールはそのことを知っている。知っているからこそ今目の前に現れている魔族に対しおどろきを隠しきれないのである。
「・・・・・・・。」
「・・・・・・・。」
「で、その魔族とやらは無言でこっちを見ているようだがなんかあるのか?」
リョウが後ろ頭を掻きながらボソッとリリにはなしかける
「そんなことわしが知るわけなかろう!なんじゃ、案外派手に出てきたのはいいが次に何をすればよいのか悩んでるのではないか?」
こそこそとリョウとリリが話をしていると
「にゃ、にゃんげん(人間)!!」
魔族と思わしき男?が声を張り上げてきた
「ひ、ひぃ!?」
トールは腰が抜けたのか地面に座りこみガタガタと震えている
「「あ、かんだ」」
と、リョウとリリについては正常どおりである
「に、にいさん!?」
「「うぇ!?」」
ここでも二人の声は見事にはもるのであった、
それはともかく、兄さんとの発言をしたのはトールではなくもちろんリョウとリリではない。残り一人サユリである。
「人間!俺の妹をかえせ!!」
「「??」」
リリとリョウは二人で見つめあい、
「リョウ、この依頼はキャンセルじゃな」
「そうだな、よし!違約金はらってくるわ!」
「えぇ!?なんでですか!?受けてくれるって言ったじゃないですか!?」
サユリ(魔族?)はあわててUターンを決める二人の前にまわりこんだ
「き、貴様!この人間!もう俺のかわいい・・・・そう!めちゃくちゃかわいい妹に毒牙を!!?」
新たに表れた魔族(兄)は空中でなにやらわめいているようだ
「いやいや、なんかかなりややこしそうじゃん?」
リョウは魔族(兄)を指さしサユリに言う
「そうじゃ、ここはさっさととんずらするにかぎるのじゃ!」
めんどくさいことをしたくない二人はすぐにでも依頼を放棄することに決めたのだ。
魔族、本来なら北の大地に住んでいるはずであり、高い魔力を誇り過去には人間と大戦争を起こした種族である。そのためトールの反応が正常であり、リョウとリリの反応はありえないのである。
「た、確かに兄はめんどくさいですが!」
「さ、サユリーーーーーー!?」
愛する妹にめんどくさい呼ばわりされる兄の悲鳴である。
「き、きききききききっ!!!」
「ん?なんだ?サルか?」
「き、貴様ーーーーーーー!誰がサルじゃーーーーー!!!!!!」
すごい大声を出しながら急降下してきた、
「なんじゃリョウ、相手をするのか?」
「いや、ここは穏便にっと!」
ゴスッ
「がはっ」
バタ
シスコン野郎もとい、サユリの兄は地面に伏した
「で、どの辺が穏便なんじゃ?」
「んーっと、今のうちに逃げてなかったことに」
ガシッ
「に、逃がしませんよ!!」
サユリが必死に腰に捕まってきた、
「きさまぁーーーーーーーーーー!」
兄復活である
「マジか・・・結構強くみぞ打ちしたのに・・」
「この喜劇はいつまで続くんじゃ・・・?」