そしてやっと旅立ち
かなり遅れましたが投稿します。
読んでいただければ幸いです。
リョウとドラゴン改めリリは現在草原をフラフラと歩いている。
ちなみに方角については一度リョウが飛び上がり町の確認をしたため間違っていない。
「リョーウ、なぁリョウー?」
「んー?なんだー?」
かなり気の抜けた掛け合いではあるが、現在この2人は魔物と出くわしている最中である。
しかし1人は二度の勇者経験があり、もう1人は伝説上の生き物と言われるドラゴンである。たとえ魔力がある程抑えられていようと、その辺の魔物に後れを取る程ではない。
『ガルルルルルルルルッッ!!』
目の前には敵意をむき出しにした狼のような魔物が8匹こちらを囲みながら様子を見ている。
「なんかこの狼変なのじゃ」
「そうだなぁ」
魔物が人を襲うのは日常茶飯事なのだが、この2人を襲うのはおかしいのである。
リョウが今まで魔物に襲われなかったのは周囲に覇気や闘気、殺気とも呼ばれるようなものを放ちながら歩いていた。自然界で生きる獣や魔物についてはこれを敏感に感じ近づいてこなかったのである。
もちろんリリも同じようなものである。
「それにのぉ」
そう、この狼の魔物はひどく痩せこけているのであった。
「俺たちを襲わなければいけないほど空腹か、それとも・・・」
「わしらよりの脅威があり、まだこっちを襲うほうがましとかかのぉ」
「「うう~む」」
この近辺にそのような気配はなく二人は魔物を前に考えこむのであった。
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「やっと町についたのじゃ~」
狼の魔物に襲われてから数時間、もうすぐ日が沈もうとしているころにリョウとリリはやっと、ここガンザの町に到着したのであった。やっとというのは、本来二人の足であればもっと早く、そこれこそ数倍速く到着することができたのであった。しかしあれから様々な種類の魔物に襲われることとなったのだ。特にその魔物の対処に時間がかかったわけではなく、その都度2人は首をかしげるため無駄に時間がかかったのだ。
「リリがいちいち魔物の様子を観察するからかかったんだろ?」
「リョウも気にしておったじゃろうが」
「・・・。とにかく今日の宿をさがすぞ」
「うまい飯をだす宿がいいのじゃ!」
「そう言われても俺もここに来たのは初めてだからなぁ」
そんなことを話しながら町の門を潜り抜ける。
町の建物は基本レンガのようなもので建てられており、かなり色とりどりの建物がみられる。
道には露店がひしめき合い、かなりの賑わいを見せており宿を探すのもなかなか難しそうである。
「さてと・・・」
リョウがそう言いながら周りを見渡すと、
「お兄さんお兄さん!宿をお探しならうちにしなよ!」
そう言いながら腕を絡ませてくる少女がいた、
「いやいや!そのお兄さんはうちの店にくるんだよ!」
そういってもう片方の腕に違う少女が腕を絡ませてくる
「ほほぉ~リョウは中々にモテるんじゃのぉ」
リリがニヤニヤとしながらリョウに話しかける
「いやいや、営業とわかっていながら軽口をたたくのはやめろって」
そう言いながらもリョウの顔はにやけており、説得力はまったくない。
「その女の子はお兄さんのお連れさん・・・妹さんですか?」
「ん?いやそういったわけじゃないが・・・」
「わしはのぉ、そこの男に大事なものを奪われてのぉ・・・」
「だ、だいじなもの?」
「そうじゃ、それを返してほしければついて来いと・・・・」
ヨヨヨと、リリは目じりに涙をためながら膝から崩れ落ちる
「げ、外道!!」
2人の少女はリョウの腕を払いのけると、ものすごい目で睨みつけてくる。
「お、おい!リリ!」
リョウはすぐに弁明しようと少女に近づくと、
「「きゃーーー!!」」
2人の少女は悲鳴をあげて走り去っていくのであった。
「・・・・・・・。」
「あははははは!!けらけら」
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「そんなに気を落とすでないぞ?ププッ」
「うるせーよ」
あれからリョウは周囲から奇異の目で見られ、それに耐えきれずそそくさと人通りの比較的少ないところまで移動してきたのであった。
「ほれほれ、早く宿を決めんと日が暮れるのじゃ」
「わかってるって、おまえが変なこと言わなければ今頃飯も食い終わってるところだったのによ」
「なーに、わしは嘘をついておらんぞ」
確かにリリは大事なものである『魔力』をリョウに封印され、尚且つ監視下、つまり行動を共にするように言われているのは確かである。
「そうかもしれんが言い方ってものが・・ゾクッ!?」
急にリョウの身体が震え、両手で自分の肩を抱きだす
「ん?リョウ?どうしたのじゃ?」
「い、いや。今かなり嫌な予感がしたんだが」
「今日見た魔物の脅威となりうるものの気配かなにかかのぉ?」
リリはそう言いながら辺りの気配を感じとろうと真剣な目つきになる
「そういうのじゃないと思うんだが・・!?」
「あ~ら、あなたがさっきうちの従業員に手を出そうとしていた不逞の輩ね?」
「お、おまえは・・・・!?」
「なんじゃなんじゃ!?」
そこには先ほど逃げて行った少女のうちの一人と、
それを庇うようにリョウの前に仁王立ちする髭面メイドが立っていたのであった。