11.シュガーランド~後編
~1~
カップケーキのデコレーションを終えたカナとユキコ、そしてファントムの三人はシュガーランド城の噴水広場にやって来た。
ルーズベルト「あみ、お口を開けたまえ!」
あみ「あ~ん…」
パクっ
あみ「ふふ、とても美味ですこと…」
かな「あみチャン!」
あみ「まぁ、あなた達…。この噴水から湧き出るチョコレート…とても上品な甘さよ」
かな「二人も来てたんだ」
あみ「あら、私たちだけじゃなくてよ」
かな「え?」
蒼汰「見て見て、イチゴ5個一気刺し!」
???「刺しすぎですよ蒼汰くん」
蒼汰は傍にいるハート柄のアロハの上から白衣を羽織った少年に話しかける。
少年の髪はピンク色をしており、前髪を中央で束ねていた。
かな(この子がカルディアくんね)
蒼汰「あっ、お前はっ!てっきり警察に捕まって来てないのかと思った」
カルディア「ひょっとして、この子が蒼汰くんがいつも言ってる例の不審…」
かな「違うわよっ!アタシはカナ!…ったく、勝手な噂流しやがって、名誉毀損で訴えるわよ!」
ファントム「ユキコ…この人たち、みんなカナの友達なの?」
ユキコ「そうよ」
あみ「ねぇ、そちらのウサギさんはどなた?」
かな「ファントムだよ。道案内してくれているうちに仲良しになって、みんなでロールケーキトレインに乗って、カップケーキのデコレーションもしたの」
あみ「まぁ、そうでしたの」
かな「そうだ、せっかくみんな集まったことだし、写真撮ろうよ!」
カルディア「それはいいですね。お城を背景にすれば良い写真が撮れると思いますよ」
リゲル様「みんなですって?僕という主役を忘れないでちょうだい」
かな「リゲル!」
ファントム(ほう、こちらの世界のリゲルか…)
リゲル様「まさか、こんな場所でアンタ達に出会すとはね。…まったく、遠足ごときで、一人前に青春気取ってんじゃないわよ」
かな「アンタこそ、懲りずに何度も何度もアタシ達の前に現れて暇人ね。彼女いないんでしょ!?」
リゲル様「な、なによ~!僕はただ、お姉ちゃんに頼まれて、お菓子を買いに来ただけよ!」
かな「え、アンタお姉ちゃん居たの!?…ふーん、って事はアンタ、パシりなのね?ダサっ」
リゲル様「くっ…。まぁいいわ。ところでアンタ達に見て欲しいモノがあるの」
かな「見て欲しいモノ?」
ばさっ!
リゲル様「じゃーん♪」
レディ達『きゃーっ!!!』
リゲル様「どう、なかなか素敵なブリーフでしょ?100%カシミア製よ♪」
かな「バカ!なにがカシミア製よ!」
ベチャ!
リゲル様「ひぃいやっ!な~んて事するの!?」
かな「あーらごめんなさい。目の前に露出狂が現れたから、混乱しちゃったのよ」
リゲル様「おだまり!よくも僕のデラックス高級ブリーフを、チョコレートで台無しにしてくれたわね!絶対の絶対に許せないわ!出でよ、虫歯怪人『ムシムシムッシー』!!」
ボン☆
ムッシー「ムッシッシッシー」
つるはしを背負った悪魔のような怪人が現れた!
あみ「きゃ~、バケモノよ!」
来園者たちは四方八方へと逃げ出す!
リゲル様「もうサイアクー。早くクリーニングに出さないと。ムッシー、後は任せたわよ!」
ムッシー「ムシー!リゲル様、お任せあれ!」
かな「出たわね怪人。変身!…ゴスロリAngelかな、降臨!!」
ムッシー「ムシシー!」
かな「たあっ!」
ドカ、バシッ、ズゴッ!
ムッシー「やるな小娘!だが、オレの力はこんなものではないぞ!」
かな「なんですって?」
ムッシー「ほう、うまそうなベンチだな。ビスケットで出来ているのか。いただきまーす♪」
カブ!ぼり、ぼり、ぼり…
むくむくむく…
かな「体が大きくなってる!」
ムッシー「オレは甘いモノを食べるとパワーアップするのだ!さぁ、覚悟!はああっ!」
かな「てりゃあっ!」
バコ、バコ、バコ、バコ!!
かな「うぉおりゃああっ!!!」
ムッシー「甘いっ!」
ドカーンッ!
かな「ぐわっ!…おのれ、スターライトニング・クラッシュ!」
ムッシー「ふんっ!」
バシュッ!
かな「そんなぁ!」
ムッシー「ムシババ・バースト!」
ボカーンッ!
かな「きゃあっ!!…まさか、アタシのスターライトニング・クラッシュが、効かないなんて!」
ピコン、ピコン、ピコン♪
変身時間も残りわずか!カナちゃん、ピンチ!
ムッシー「ムッシッシッシー!どうだ?この圧倒的強さ!」
かな「なによ…ちょっと体が大きくなったからって、エラそうにしないで!そんなもの、アタシからすれば、見かけ倒しにすらなってないわ!」
ムッシー「なに!?」
かな「その程度で、イキがってんじゃねぇよザコ!」
ムッシー「なんだと!?」
かな「闇色蝶々!」
暗黒の揚羽蝶の群れがムッシーを襲う!
ムッシー「くそっ、目眩ましか!?」
にゅる、にゅる…
さらに植物の蔓がムッシーに絡み付く!
ムッシー「くっ、なんだこれはっ!?パワーが吸いとられる!」
ムッシーからパワーを吸いとった蔓は深紅の薔薇を咲き誇らせた!
かな「吹き荒れろ、ダークナイト・ローゼス!」
ドバ、ドバ、ドバァっ!!
ムッシー「ぎゃあっ!!クリ◯クリーンっ!!」
華麗なる薔薇の花吹雪を浴びせられ、ムッシーは消滅した!
同時にカナの変身も解ける。
かな「パワーだけが取り柄の単細胞が…甘ぇんだよ!」
コツンっ…
かな「イタっ」
何かがカナの頭に当たって落ちた。
かな「ん?…わぁ、オシャレ!」
見ると不思議なピンクの鍵が落ちていた。
かな「ふふ、も~らいっ♪…さてと、みんなを探さなくちゃ」
~2~
40分後。
かな「もう、みんなドコいったの~」
蒼汰「こらっ、そこのキミ、怪しいね!署まで来てもらおう!」
かな「蒼汰くん!」
蒼汰「ったく、手間かけさせやがって…。みんな心配してたぞ」
かな「ごめーん、逃げ遅れちゃって」
蒼汰「まぁ、そんな小さな体じゃ、逃げ足遅いもんな」
かな「うっさいわね!それを言うならアンタもでしょ!…でも、迎えに来てくれてアリガト」
蒼汰「ふん、次は無いと思えよ…」
かな「ねぇ、蒼汰くん、一緒にアレ乗らない?」
蒼汰「ん?」
かな「マカロン観覧車♪」
蒼汰「ええ?まぁ、いいけど…」
~3~
観覧車。
かな「凄い、ファントムの言ってた通りだ…」
蒼汰「お前、観覧車も乗ったこと無かったのか?ますます怪しいな」
かな「そうだ、蒼汰くんにもコレあげる。ファントムと一緒にデコレーションしたカップケーキ」
蒼汰「え、くれるの?」
かな「うん。観覧車、付き合ってくれてアリガト♪」
ワサビ入りの可能性は疑わないんですね、蒼汰くん。
かな「あっ、ユキコちゃんたち!…あれ、でもファントムは?」
蒼汰「仕事に戻ったんじゃない?」
かな「え~、みんなで写真撮りたかったのに!リゲルめ~。…でも、また会えるよね。お~い、みんな!」
~4~
ユキコ「カナちゃん…」
あみ「まぁ、蒼汰くんと二人で観覧車だなんて…。いつの間に関係が進展していたの?」
~5~
その頃、ファントムは別の所から、観覧車に乗るカナと蒼汰を見つめていた。
ファントム「友達…か。僕をそう呼んだのは、君が初めてだよ。正直、嬉しかったな…。ケッケッケ、だがよ小娘!次に会う時は、俺様はオメェの敵だ!がっはっはっはっは!!」
警備員「こらっ、そこのキミ!ここは立ち入り禁止エリアだぞ!」
ファントム「やべ、見つかった!」
すっ…
警備員「あれ、消えた!?」
To Be Continued.




