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Take it easy!(生徒会選挙立会演説会)

やっと一区切りつきました。

 さぁ始まりました夏の生徒会役員選挙立会演説会。残暑の厳しい体育館で何人もの立候補者が自分の出番を待っています。

 ええ、では始めに、立候補者の紹介を行いたいと思います。まず、会長立候補者。六人います。この数年間で最も多いです。

 一人目、小野寺祐吾君、二年A組。彼は二年生の人気者で、友達も多いようです。また、女子とも仲が良く、男子だけじゃなく女子からの票も得られそうです。活動責任者は、同じく二年A組の三弥君です。

 二人目、三芳将君、二年B組。彼は頭脳明晰で、この夏休みには海外派遣生としてオーストラリアへ行きました。その他にも文化祭実行委員等の役職を経験しています。先日の共同説明会では少し過激な発言がありました。影響はあるのでしょうか。活動責任者は、学年トップクラスの学力を誇る二年A組の刃坂君です。

 三人目、仁川果穂さん、二年A組。彼女は良い意味で何かと話題になる人です。とても明るく活動的で、時には先生方にも立ち向かっていくその姿勢に憧れを抱く生徒も多いのではないでしょうか。共同説明会では、男尊女卑の風習を学校から消し去ると宣言しました。女子からの票に期待です。活動責任者は、二年B組の神崎さんです。

 四人目、前橋早苗さん、二年B組。前橋さんはダム、失礼。ええ、男女関係なく仲良く接する人で、そのぶん男子からの票にも期待です。共同説明会では、部活動の活性化について話していました。我が校の生徒の大半は部活動に参加しているので、この公約は強いでしょう。活動責任者は、二年A組吉野さんです。

 五人目、国本弥生さん、二年B組。彼女はとても斬新な公約を掲げています。「委員会制度の白紙化」は多くの生徒に衝撃を与えたことでしょう。どこまで得票数を稼ぐか注目です。活動責任者は、二年B組麻野さんです。

 最後の六人目は、二年B組の西久保美樹さん。文句のつけようが無いくらい高い学力を誇りながらも謙虚な性格は彼女が人として優れている事の証です。共同説明会では、「生徒会活動の広報」、「日直制の見直し」を宣言しました。日直は早朝の登校があるので不評です。それを見直すとなれば喜ぶ生徒も多いでしょう。活動責任者は、二年A組松坂さんです。

 以上六人が会長立候補者です。続きまして…



 「放送委員会が一人一人詳しく説明している。しかし今さら説明したところでもう遅い。立会演説会、投票の当日にもなって立候補者のことについて知らないような奴らは今説明したところで知ろうともしないだろう」


「いいじゃんやらしとけば」


 当選しようと思っていない将と刃坂は気楽に会話していた。他の立候補者はいつもと態度が違う。二人は気づいていないが。

 無理に笑顔を顔に張り付けた小野寺が話しているのが聞こえてきた。


「ま、いつも通りやりゃぁ大丈夫っしょ。余裕余裕」


「小野寺先輩、準備お願いします」


「オッケ。Take it easy(気楽にいこうぜ)!」


 小野寺が舞台に上がると同時に舞台袖から舌打ちが聞こえてきた。犯人はお察しの通りである。


「あいつ年下にもカッコつけてるぜ。死ねよ」


「いいじゃんやらしとけば」


 そんな会話をしているうちに小野寺の演説が始まった。



「ども、小野寺祐吾です。僕が当選したら(以下略)」


 まとめると、共同説明会と一緒だった。三弥も同じだ。



「三芳先輩、お願いします」


「はいよぉ」


 将はいつも通りやる気がなかった。



「三芳です。実は僕、当選しようとは思っていません。ただ、選挙活動を思い出として経験したかったのです。もちろん、当選したら公約を達成します。なので、応援してくださった皆さんは僕に投票してください。以上です」


 意訳するとこうなる。


「三芳です。当選する気無いです。逆に当選したくないです。小野寺潰しを思い出にしたかったのです。まぁ当選したら頑張るです。異常です」


 となる。クズもここに極まれり。刃坂も将の発言を肯定するような演説をした。他の人は共同説明会と同じだった。その後役員立候補者の演説があり、クラスに戻った。これから投票する。小野寺は自信満々と言う雰囲気を漂わせていた。彼の中のライバルである将があんな発言をしたのだから当然と言えるだろう。

 一方将も自信満々だった。これで調度良く小野寺を削りつつ自分も落選できるだろう。素晴らしい。会長は仁川でも西久保でも自由にやってくれ。そんな言葉が顔に書いてあった。


 開票は今日の放課後、発表は明日の朝になる。

 

次回から刃坂視点です。たまに他のキャラ視点になりますが、基本的に彼の目線でいきます。

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