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入学からの生徒会(Bルート)

~ショウ視点~

 魔術で中庭を焼き払ったら怒られて王立魔法学校にぶちこまれた。村の悪ガキが寺に放り込まれるようなもんだな。んで今日から転入する。

 朝早く、俺はレナさんと一緒に王都の外れにある魔法学校に出向いた。めちゃくちゃデカい。校舎が尋常じゃない。東京○ーム単位で計れるだろう。校門からレンガ造りの建物の隙間を縫って歩く。途中どこかから爆発音が聞こえてきた。授業だろうか。怖いなあ。魔術初心者としていじめられたりしないだろうか。友達なんぞできるだろうか。まさか入学の恐怖をまた味わうことになるとは思わなかった。

 二十分位歩き続けて、ようやく職員室に着いた。ってか小さな建物全部が職員室のようだ。学校がデカいから先生も多いんだろう。

 中に入ると、やはりそこには沢山の先生がいた。一番奥の部屋に入れられた。ちょっと緊張してきた。


「俺が校長のアーノルド・ピアースだ。お前が魔力暴走ボーイだな?まあ適当にやってくれ。寮の鍵渡しとくぞ。後、細けぇ事はそこの薄い本を読んどけ。あ、別にエロ本じゃないぞ」


 突然入ってきて出てった。校長って多忙なのか?オモロイ先生だったな。レナさんも唖然としていた。

 薄い本を開いてみる。まあ普通に校則が書いてあった。結構緩そうだ。特筆すべきは生徒会に関する事だろう。この学校は生徒会の力が強いようだ。かなり自治を認められている。まあ、俺には関係ないが。


「レナさん?」


「あ、じゃあ、頑張ってね。月イチ位で様子見に来るから。困ったことがあったらその時にね!」


 いなくなった。まだ十四なんだけどな……幼いボーイなんだけどな……

 まあ自由にやってよさそうだし、頑張ろう。


 とりあえず薄い本に載ってる地図を頼りに寮まで歩いてみる。歩き始めて思ったんだが、自由にやると友達ってできないんじゃないだろうか。まあ、何か授業を取るのもアリだろう。魔術と結界術、それに転移術も欲しいな。転移術を極めたら地球に転移出来たりして…神級ならありそうだな。

 四回目の曲がり角を曲がったとき、お約束の展開が起こった。女子との正面衝突だ。後ろに倒れる。これ思ったより痛いな……


「……チッ」


 舌打ちをして走り去っていった。時間にしてわずか五秒程度の出来事だったが、俺の目は彼女の頭をハッキリと捉えていた。獣耳は実在したのだ。

 残念ながら不良っぽいから近づきたくはないが、存在が実証できただけ良しとしよう。

 歩いたら寮に着いた。これもまた大きい。男子寮は赤、女子寮は白の建物だ。横浜の赤レンガ倉庫みたいな雰囲気がある。冷房とか無いのかな……ちなみにトルネリア王国は話を聞く限り年中暑い。寒いよりはましかな。

 俺の部屋は三階だった。四畳半位の空間に机とベッドが置いてある。無料だとこんなもんか。ちなみに授業料は騎士団が一括で払ってくれた。なんでここまでしてくれるんだろ。

 疲れていたから寝た。




 朝になった、起きたが時間がわからない。まだ少し暗いから早朝だろう。夕方かもしれんが。昨日は夕飯を抜いたから腹が減って仕方ない。食堂に行こう。食堂はたくさんある。こんだけ広い学校だから当然と言えば当然か。レナさんに渡された騎士団支給の服に着替えた。これが素晴らしいのだ。黒い半ズボンに赤い半袖のシャツ。それに剣を差すベルト。肝心の剣はない。買わなきゃな。いや、センスが無いから要らないかな?これ以外にも騎士団の正装をもらった。重要な用事の時はこれを着ろ、と言われた。

 特に重要な事は無いから緩い方に着替える。食堂に行こうとしたら、ドアをノックされた。


「はい」


 ドアを開けると、そこには眼鏡を掛けたキツネみたいな顔をした男がいた。多分人族だろう。


「ショウ・ランドルフだな?」


 キツネはネチッとした声で偉そうに言った。こちとら元は生徒の王だったのだ。なめてもらっては困る。というわけで偉そうに答えた。


「そうですが何か?」


「来い」


「理由がわからん」


「生徒会長がお前に会いたいとおっしゃっている。服装をただす時間をやろう。三分で着替えてこい」


 ドアを閉められた。コミュ障を患っている俺には赤の他人との会話は難しすぎた。仕方ない、着替えよう。

 正装に着替えて思った。これは違うやつだ。アサシンな信条に出てきそうな感じだ。上は黒を基調として白いラインがいくつか入っている長袖。フードは無い。左袖の内側に刃が手のひら位あるナイフが入っていた。これって例のブレードなんじゃ……とか思ったがただの折り畳み式ナイフだった。使いこなせる自信が無い。そして左胸には王立騎士団のエンブレムがついている。王の杖と剣が交差している。レナさんによると、これだけが騎士団全体のエンブレムで、各部隊ごとにこれに装飾を加えるらしい。

 下は真っ黒なズボンだ。これといった特徴はない。

 靴もセットだった。踵の部分から折り畳み式のブレードが出てきた。決まった部位に衝撃を加えると飛び出すようだ。中坊に何渡してんだか……


 準備を終えてドアを開けると、キツネがいた。奴は俺を見て何故か狼狽した。


「遅い!……って、ええ?おい、お前は王立騎士団の人間なのか……?」


「見方によってはそうなりますね」


 騎士団ってそんなに有名なんだろうか。

 何故か怯えているキツネに連れられて生徒会室に赴いた。生徒会室は寮の裏側にあった。しかしこの服装暑いな……

 生徒会室では何故か待たされた。そっちが呼んだのになぁ。暇だから魔力で遊んでみた。少し出したり、多目に出したり。魔力を放出するとランプの明かりが明滅して面白い。よし。ちゃんと制御できる。慣れれば息をするように出来るのだろうか。遊びの一環で何となく服に魔力を通してみた。すると服が氷のように冷たくなった。慌てて魔力を止める。そこで理解した。この服はほんの少しの魔力を流すと冷えるのだ。多分これは流し続けてもあまり魔力を消費しないのだろう。騎士団すごいな。温める事はできなかった。夏使用だ。

 そんなことをしていたら人が入ってきた。六人か。古西中学校生徒会と同じだな。男二人の女三人か。男はキツネと、めっちゃ高そうな服を着て偉そうにふんぞり返っているのがいる。女は……あ、昨日ぶつかった子がいる。生徒会だったのか。


「何故偉そうに座っている!立て!」


 キツネが叫んだ。うるさいなぁ。それでも完全アウェイの恐怖が勝り、立ち上がった。


「こちらが当代の生徒会長を勤めていらっしゃる、トルネリア王国第一王子フリート・ウェンデル様にあらせられる!」


 キツネがうるさい。ってか王子様か。やっぱイケメンだな。どういう事情で会長やってんだろ。


「おい、お前!無礼だぞ!陛下の下僕の分際が!礼儀も知らんのか!」


 下僕?ああ、騎士団の事か。あまり気分よくないな。ジャパニーズトラディショナルオジギをするか。

 一歩遅かった。


「こいつは王族に対する礼儀がなっていないようだな」


「その通りです。私が教えてやります」


 昨日の子が一歩踏み出した。それと同時にまだ殺傷能力を持っていない魔力が流れてくる。マジか、実戦か……また焼き払おうかな。いや、退学だけは避けたい。でも、ここで死ぬわけにはいかない。どうしよ……

 気づいたら左袖からナイフを取り出していた。


「……あ」


 国家反逆罪で学校の一室にぶちこまれた。

どうしよ

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