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遠足だよ

 十月一日、古西中学校の二年生は東京都に観光に来ていた。彼らが首都に来るには電車に小一時間揺られる必要がある。つまり暇な時間がある。


 刃坂は英語の参考書を読んでいた。本当は人と話したい。だが辺りに誰も友達がいない。初めは将やアリス達と一緒にいたが、今は通勤時間である。東京へ向かう上り列車には人がぎっしり詰まっていた。瞬く間に将たちとの間に人の壁ができ、少し人が引いたらいなくなっていた。仕方がないから人に潰されつつ英語の勉強をする。少しでもアリスと会話が出来るようにしなければ。これ以上将に劣る部分を増やしてはならない。


 西久保は困っていた。あれ?これ全然面白くないぞ、と。遠足は男女三人ずつのグループに別れて行動する。グループは別のクラスの人と組んでも良い。電車に乗る時点でもうグループ別で行動する。東京駅までは絶対に行かなければいけないが、何時の電車に乗るかも自由である。彼女のグループは

三芳

西久保

刃坂

ウォルコット

山村

三弥

だ。三弥がいる。何故かと言うと、小野寺は本人を除く二人を選ぶため、何人か漏れる。その内の一人が三弥で、紆余曲折あって三芳組に流れてきた。もちろん三弥にやる気はなく、事前学習では普段温厚な山村をキレさせた。アリスの会話についていけない西久保は一人でボーッとしていた。そこに三弥が来て話しかけてきたのだ。イジられて不快な雰囲気を醸し出してみたが、一向に気がつかない。ホントに最悪だ。西久保の前で平然と三芳の悪口をほざくとは、バカを極めている。


「…まあだからあいつと関わっても良いことなんてねぇよ。西久保は可愛いし頭も良いんだからさ、もっとマトモなやつと付き合えば?」


「あははーそんなことないよー」


 これ、いつまで続くんだろ。西久保は天を見上げた。そこには灰色の天井が広がっていた。



 アリスは戸惑っていた。いつのメンバーで話していたら、ミキが離れていったのだ。何か嫌がられる事を言ってしまったか?いや海草の話のどこに嫌な事があるのか。ショウとアイコンタクトで連絡をとろうとしたが、彼は気づかなかった。

 しばらくミキの様子を見ていたら、タイキが話しかけていた。アリスは彼が苦手だった。クラスが違うから滅多に会うことはないが、廊下ですれ違ったときなどに全身をなめ回すように見てくる。それがとても不快なのだ。タイキがミキに話しかけているだけで危険を感じる。

 案の定、ミキが嫌がっているのに気づかずにタイキは話続けている。


「止めなくていいの?」


「え?なにが?」


 ショウは鈍感だ。

 タイミングよく東京駅に着いたのでアリスの懸念は無意味に終わった。



~東京・皇居前~

三芳「ここに天皇陛下がいらっしゃるんだって」

アリス「テンノウ?王様?」

三芳「日本の象徴?だよ」

アリス「わかんないわ」

山村「私も良くわかんないわ」

刃坂「おい」


三弥「あーつまんねぇ。早く帰りてー」

西久保「…そう」


刃坂「…」



~東京・武道館~

三芳「ここではいろんなアイドルがライブやったり、柔道とかやるんだよ」

アリス「ライブ?」

山村「コンサートのことよ」

アリス「へー」


三弥「西久保ってどんな芸能人が好きなの?」

西久保「…あまりテレビ見ない」


刃坂「…」



~東京・上野~

三芳「ここは歴史ある商店街なんだよ」

アリス「へぇ、賑やかね!ちょっとお買い物して良い?」

山村「私も行く!ほら会長、荷物持ち!」

三芳「十五分な。ほら西久保、康生、行くぞ」

西久保「うん!」

刃坂「オッケー!」


三弥「…チッ」



~東京・青くてデカイ塔の下~

三芳「へー、でっかいなぁ」

アリス「これ上に行くの?」

山村「全部のグループが一緒に上るからね。拒否できないよ…」

西久保「高いね~」

刃坂「うん(意外と西久保って話しやすいな)」


三弥「…」



~東京・塔の上~

三芳「人がゴミのようじゃ」

アリス「ホントね!小さいわ!」

山村「そっかネタわからないのか…」


西久保「私高所恐怖症だからあまりガラスの方行きたくないな…」

刃坂「へーそうなんだ(今足元がガラスなんだけどね)」


三弥「クソつまんねぇよ」

小野寺「そっか。ごめんな」



~東京・蕎麦屋~

三芳「明治から続く蕎麦屋だよ」

アリス「何年前?」

西久保「この店は千九百八年から続いてるらしいよ」

刃坂「西久保すげぇ」


三弥「まずそうじゃね?」

山村「じゃあ食べなければいいんじゃない?」



~遠足後の感想~

三芳「面白かったけど英語ばっかで疲れた。三弥がいなければもっと楽しかった。ゴボウが食べたい」

アリス「楽しかったけどショウとマナの英語だと理解できない部分もあった。まあ楽しかったけど」

山村「疲れた。当分英語いらない。楽しかったけど三弥に話しかけられたから少しマイナスかな」

西久保「初めは三弥がウザかった。途中からは刃坂君が話しかけてくれたから楽しめた」

刃坂「英語の必要性が高まった。西久保って面白い奴だった」

三弥「つまんなかった」

こういう形式も使っていく予定です。従来型がベースになりますが。

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