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ファースト・コンタクト

 私と妹は親の都合で日本に来た。ここで学校に通ったりするんだけど、大きな問題がある。そう、日本語がわからないのだ。探せば私みたいな外国人が通う英語を使う学校もあるらしい。だが親の職場から遠くなる。極東に来て親と離ればなれはキツい。だから普通の中学校に通うことになった。

 空港で古西中学校の生徒に会った。ジャパニーズはひたすらに真面目だと聞いていたが、そこまでつまらない人達ではないようだ。少し英語が話せるショウは冗談を言えばニュアンスを理解してくれるし、彼の友達、えっとコルセだっけ?その子とショウの会話はよくわからないけど楽しそうだ。それにしても、何で「ススム・ミヨシ」のアダ名がショウなのかしら。日本語ってわかんない。


 日曜日は家に荷物を入れて終わった。何で日本人は靴を脱いで生活するの?でも畳は嫌いじゃない。

 そして月曜日が来た。日本の学校ではいつも制服で過ごすらしい。汚れとか気にならないのかな?制服はまだ届いていないから今日は私服だ。と言っても白い半袖のワイシャツに黒い膝まであるスカート。何ら問題は無いだろう。今日から一週間はショウと一緒に行動する。マナとコルセ?は別のクラスなんだそうだ。

 ショウとマナは家の近くのマンションに住んでいるらしい。いつでも遊べるね。そして今日はその二人と一緒に登校する。




「おはよー会長。朝からテンション低いねぇ。低血圧なの?」


「平常運転だよ。じゃあ行きますか」


「うん。アリスの家ってあっちだよね」


「多分な」


「ねぇ、アリスってかっわいいよねー。名前も不思議の国の人みたいで」


「まあ少なくとも不細工ではないな。それにみたいじゃなくてまんまだろ」


「上からだねぇ。ってかさ、会長は小学校までサッカーやってたって本当?」


「一応な。上手くないぞ」


「うわぁー無愛想だなー。もっと明るく生きよ?きっと楽しいよ」


「死んでも嫌だ。お、ここかな?」


「インターフォン無いね。ノック?」


「ドアノッカーがあるな。なんて古風な…」




 下から声がする。多分二人が来たんだろう。さあ頑張ろう。


「ペネロピ、行くよ」


「…うん」


 すっごい控えめなノックが聞こえてきた。日本人は堂々とできないの?みんなオドオドしてる気がする。


「おはよう、ショウとマナ!行こ!」


「うん。じゃあ行こうか。今日も可愛いね」


「ありがとマナ。ショウは?元気無いね」


「俺はいつもこんなだよ。じゃあ行くか。道覚えてね」


「ずっと一緒に行けばいいじゃん(日本語)」


「覚えといて悪いこたあないだろ(日本語)」


 詳しい自己紹介をしながら歩いた。マナはサッカーをやってるんだって。以外ね。

 こんなこともあった。


「ペネロピさんは日本で見てみたい物とかありますか?」


「…ない」


 学校でうまくやっていけるかしら…




 学校についた。私とペネロピは職員室にかなきゃいけないらしい。二人と別れて佐川先生に会う。彼女は英語が話せないから、会話は別の先生を間に挟んで行う。彼女が言うにはこれから朝会で自己紹介をするらしい。通訳はショウがやるから英語でいいが、内容を考えておけ。ということだそうだ。楽勝だね。英語でいいなら即興で作れる。

 だがペネロピはどうだろう。我が妹は即興的な力が無い。そしてあまり成績が良くない。努力をしていない訳じゃない。ただ、あまり勉強の要点のようなものが掴めてないのだ。私も教えてやりたいが、できない。なぜなら私は家で一切勉強していないからだ。家だけじゃない。学校でも休み時間は遊び呆けていたし、日本で言う「塾」も行っていない。だが成績は悪くない。学校では上位に入っていた。この事をショウに話したら、彼も同じような感じらしい。「俺も一緒だよ」と言って何故か苦笑した彼の笑顔はとても愛嬌があった。苦笑なのに。

 話が脱線したが、ペネロピが心配だ。




 朝会は体育館でやるらしい。体育館はとても小さかった。スタンドが無い。どこで応援するんだろうか。

 そんなことを考えていたら舞台に上がるよう指示をされた。ペネロピと一緒に舞台袖から舞台に出ると、沢山の生徒がいた。以外と多い。そして何故かざわついている。なんでだろう?


「よお」


 ショウが舞台に上がってきた。相変わらずテンションが低い。


「何でみんなうるさいかわかる?」


 素直に両手を返して胸の辺りまで持ち上げる。わからない、というジェスチャーだ。


「みんなアリスとペネロピが予想以上に可愛いから驚いてるんだよ」


 苦笑しながらショウが言った。うん、悪い気はしない。隣を見ると、ペネロピがとても不快げな顔をしていた。失礼な妹で申し訳ない。


「えー皆さん、おはようございます。三芳将です。これから転校生を紹介します。二人の話は僕が通訳しますので分かりにくい部分もあると思いますが、まあそこは流してください」


 さあやろう。





 ショウの通訳が終わった後、みんな私に奇異の目を向けてきた。あいつなんて言ったんだろう…

 ペネロピはかなり無愛想だった。それでもショウが上手くまとめてくれたようで、彼女もみんなに奇異の目を向けられている。

 朝礼が終わって教室に向かうとき、変な男子が話しかけてきた。顔は嫌いじゃない。でも彼の英語はショウ以上にヒドい。ショウも大概だが。


「はじめまして、ウォルコットさん。僕は小野寺祐吾です。よろしく」


「ええ、よろしく!」


 誰だかわからないが、とりあえず笑顔で挨拶しておく。印象は大事だ。


「役得だな。三芳会長」


「行こっか、ア・リ・ス」


「うん」


 なんだろう、ユーゴとショウは仲良くないのかな?


「ねえ、さっきのユーゴってどんな人?」


「ああ、彼はいわゆる女好きってやつだよ。俺はあまりそういう性格の人好きじゃないから(ホントは羨ましいだなんて言えない)」


「そう。私もそういうの好きじゃないかな」

将・真奈とアリス・ペネロピの会話は全部英語です。その他のペアの会話は日本語です。台詞の後に(日本語or英語)と表記があればその言葉です。

将は簡単な日常会話は英語でできます。真奈は少し劣りますが、それなりにできます。


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