ウデタタキ
あんなタケちゃんに彼女がいたなんて……
僕がまじまじと2人を見つめていると、タケちゃんが、苦しそうな顔をしている。
そりゃそうだ。あんなにクールビューティ系の女の子がこんなデレデレしてたら困る。もちろんいい意味で。
でも、今の僕には好きな人がいるからそんなことはどうでもよかった。
「今日はいっしょに帰るんだからね!昨日逃げちゃったでしょ」
「あ、ああ。あれはね、用事があったの」
絶対嘘だ。あんなの顔で分かる。
タケちゃんは、中肉中背で背が高く、「まあまあイケメン」といったところか。
ジョークが利いて、良い奴だ。
クール女がタケちゃんの腕に絡みつく。締まるんじゃないかと思うくらいに。
「ちょっと、離せよ!こんなところでやめろよ!」
しかし触手はなおも絡みつく。
僕は恐怖さえ覚えた。
「あっ、そうだ。ハヤトくんにも見せなきゃね」
急に声が無機質になった。
「私たち、付き合ってるの。よろしく」
タケちゃんも細い声で「よろしく」と繰り返す。
「そうだ、愛し合ってるしるしに、キスしよっか」
は?恐怖を通り越して、狂気に変わった。
「え?いやでも人前だしさ……そもそも僕ら特に仲良くないし……」
その時クール女はタケちゃんに無理やりキスをした。
僕は狂気の1つ上の言葉を探した。