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初仕事

 冒険者カフェ"ウィリムス"の開店3日目。


 この日は朝から大混雑であった。初日よりも人が多いかもしれない。

 どうやら先日エッジを追い返した一件で相当話題になったとのことだ。

 日本と違って娯楽が少なく、こういった話題はすぐに広がる。

 流石老舗ガルフの開店祝いだ。

 あの一幕で経営にはかなり大きな効果をもたらしてくれているようだ。


 アサギはガルフレット達に感謝した。

 もし連日この調子だったら、もっと人を雇うことを検討したほうがいいかもしれない。

 そんなわけで今日も朝から休む間もない忙しい一日となっていた。


 夕方になると朝からの混雑も少し収まってきた。

 そんな時間帯に先日薬草を買っていったプレートアーマーの男が店に顔を出した。

「店主。約束通りスカイスパイダーの討伐クエストをこなせそうな奴を連れてきたぞ。」


 男の後を追うように二人の少女が連れ立って入ってきた。

 年齢は二人共15~18歳位だろうか。

 一人は神官服を着たにこやかに微笑んでいる白髪のショートボブの少女。

 もう一人は赤を主体としたローブに身を包んで不満そうな顔をしているセミロングの茶髪の少女であった。

 二人共身長は低く、少し細めの体つきをしていた。


 男はカラカラと笑ってアサギに話しかけた。

「昨日俺が帰った後面白いことがあったそうじゃないか。

俺も是非エッジが尻もちをつく姿を拝みたかったよ」


「エッジってどんだけ嫌われてるんだよ…。

まあ、見ての通りおかげさまで大繁盛だよ。

で、クエストこなせそうなのって後ろの子達か?」


 今日はアサギを褒め、エッジの悪口をいう客が多かったのだが、アサギはあまり彼の悪口に付き合いたくはなかった。

 わざとやられ役を演じてくれた恩人の悪口は気が引ける。


「おいおい、もう仕事の話かよ。ずいぶん仕事熱心だな…。

ああ、そうだ。二人共俺の同郷でな。腕はなかなかなもんだ。

ほら、お前ら挨拶しろよ」

 男がそう言うと二人はアサギに挨拶をした。


「はじめまして。私、神官見習いをしておりますサーニャ・シトラスと申します。以後お見知り置きを」

「…バーチェよ。魔法師バーチェ」

「ご丁寧にどうも。俺はアサギ・シロガネ。この店のオーナーだ」


 この世界には魔法や神術というものが存在する。

 魔法は自身の魔力、精神力を元に事象を変化させる技であり、神術は神に愛された信徒しか使うことができない奇跡の御業である。

 魔法は炎を生み出したり、風を起こしたりいろいろな事象を操ることが出来る。

 どんな事象を操ることが出来るかは本人の資質と修練次第である。

 対して神術は傷を癒やしたり、解毒したり、一時的に身体能力や運を上げたりといった事ができる。

これは徳を積み、神に認められることでその力を増していくとされ、神から格別なご寵愛を受けたものは時に死者すら甦させるという。

 8英雄では爆炎のファラ・シドラ、暗黒のタリル・ダウルが魔法師で聖姫ミリア・アインハルトが神術士であった。


アサギは二人の魔力や動きを見る限りこの二人がパーティーを組めば問題なくスカイスパイダーの討伐はこなせそうだと判断した。


__________________________________________________________

スカイスパイダーの討伐クエスト


【クエストランク】

 E


【種別】

 魔物討伐


【解説】

 最近、カランーアーカンシェル間の国道17号で多数のスカイスパイダーが出没し、荷馬車に被害が出ている。そのためこれ以上の被害を抑えるため女王蜘蛛の退治をお願いしたい。

 女王蜘蛛はアム川沿いに多数目撃されているため、これをできるかぎり退治して欲しい。


【報酬】

女王蜘蛛1匹につき青銅貨5枚

【期限】

葉の月まで

______________________________________________________________



 スカイスパーダーはその名の通り、空を飛ぶ羽の生えた蜘蛛である。

 体長は5センチほどで毒はないが粘着力がとても強い糸を吐き出す。

 糸に引っかかると簡単には取れずにとても鬱陶しい。

 荷馬車の車輪に多数糸が絡みついた場合は車輪が回らなくなってしまう。

 また、スカイスパーダーの糸に絡みついた男が身動きがとれなくなり死にかけた例がある。

 死に至る危険性は低く、魔物の中でも弱い類のものなのだが、繁殖力が強い。

 数を減らすには女王蜘蛛を倒すしかない、とても面倒な魔物なのだ。

 アサギは初めてこの蜘蛛を見た時、空飛ぶ蜘蛛が日本にいなくて本当に良かったと心底思ったものだ。



「うん。二人共見た感じは大丈夫そうだが、とりあえずライセンス手帳を見せてくれ」

 少し困った顔をしてサーニャが答えた。

「申し訳ありません。私たち、このような仕事初めてでしてライセンス手帳はもっておりません」

 バーチェはどうでも良さそうな感じで店内を見渡している。


 ということは二人共これが冒険者の初仕事になるのか…。

「それじゃ、まずはライセンス登録からやるか。2人共ちょっと店の奥にきてくれ」

 ライセンス登録も冒険者の店の仕事だ。アサギもライセンス登録するのはこれが初めてなのであった。



入院することになってしまいました・・・。

そのため当面更新できそうにありません。


読んでくれていた方、申し訳ありません。

調子が戻り次第、また更新していきます。

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