卒業式
「お前、やるのか・・・・。」
部屋を出るとルイが壁に寄りかかって腕を組んでいた。
「・・・ああ。」
「・・・そうか・・・」
口調の全く違くルイに違和感を感じた。
「じゃあ、これからは同僚ってわけか・・・。」
「・・・そうだな・・・。」
なんだか少し気まずく感じる。
「ノアには言わないでくれ、」
「わかってるよ」
僕らはノアの笑顔を守りたかった。
その後は訓練に明け暮れた。
ルイは一年前からここで働いていたらしいが、その理由は聞かなかった。
彼はもう訓練期間を終えていたが、もう一度一からやりたいということで同期として銃の訓練に励んだ。
僕は成績も上位ですぐにでも現場で使える逸材だといわれた。
あまりうれしくわないんだが・・・。
毎日的を狙う生活が続き、残りの高校生活もあまり授業には出なかった。
それでも、教師は何も言わなかった。
きっとあの人が裏で動いているのだろう。
何気なく時は過ぎ、学び舎から卒業することとなった。
長い校長の話を聞き流し、礼と着席ばかり続く式にあくびが出る。
クラスメートは浪人したり、大学にいったりと安心プランにそった進路を進んでいた。
僕と、ルイは今日からタックで現場に入ることが命じられていた。
僕らは卒業式の後、ノアの家に呼ばれていた。
家に入ると顔にクラッカーをあてる母親とノア
そして「あぶないから・・。」とあきれる父親。
最初に来た頃と何にも変わってなかった。
変わったのは僕だけか。
そして、運ばれてきたのはやっぱりたこ焼き。
ロシアンルーレットでたこ焼きが回ってくる。
その光景があまりにも懐かしくて、涙ぐみそうになる。
「セ、っ先輩?もしかして、当たっちゃいました?」
ノアが心配そうに顔をのぞいでくる。
「いや、ギリセーフ」
「そうですか、よかった」
安心したように息を吐くノア
「おい、ノア!お前狙ってんだろ!なんで俺だけいっつもからし入りなんだよ!」
ルイが苦しそうにむせていた。
「日頃の行いじゃない?」
ノアはシレッとして水を渡す。
その光景は幸せそのものだった。
僕らは笑い合っていた。
だが夢はいつか覚める。
その現実を忘れさせてくれるそんなひと時だった。
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
余談だが、この時僕が食べたたこ焼きはからしが大量に、
ルイのたこ焼きには甘いミルクチョコレートが少量入っていた。