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吸血鬼と国王  作者: 丘/丘野 優
終章
29/31

第29話 過去と過去と

「魔人が人間と戦うのは卑怯ではないかしら?」

「聖人の契約者を人間と同列に並べては失礼だろうさ」

「あら、そう言われるとうれしいわ」

「お前にじゃない。人間に対して失礼だと言っている」


 挑発気味にそう断言して笑ってやると、教皇の目は急に冷たくなっていく。


「まったく……魔人風情がよくいったものだわ。この失敗作め。今この場で消え去るがいい」


 教皇はそう言って、手に持った錫杖を振るう。一振りごとに風が発生して私の体をその場につなぎとめる。教皇の錫杖は私が動けない間にも動き続け、気付いた時にはそこに魔法陣を描いていた。忘れ去られたはずの古代に存在した魔法だった。


「馬鹿な!」

「覚えている人も、存外、いるものよ」


 そう言ってしゃらん、と教皇が最後にもう一度振ると、魔法陣は光り輝き始めた。

 同時に教皇の後ろにあった泉から水で出来た龍が生まれる。


「ではさよならね、魔人」


 そう告げると同時に、龍が私に襲いかかった。

 その衝撃は激しく、石造りの床が抉れてしまうほどだ。

 しかし。


「魔法が使えるのがお前だけだと思うなよ」


 そう言って無傷で立ちあがった私の横には、炎でできた龍が、水でできた龍を咥えて佇んでいる。

 教皇は口を噛んだ。


「あなたも……」

「そういうことだ」


 激しい魔法戦が始まった。


 *


「おや? 意外とあなたの魔人は戦えるようですね」

「あいつは強い。俺の命をここまで守ってくれたんだ。負けやしないさ」

「ふむ。けれどその前にあなたの命が尽きれば、意味がないですよね」


 ぐりぐりと、レオは俺の腕に突き刺さった手刀を動かす。

 それなりに戦えていると思っていたが、やはり聖人には敵わないようだった。

 ただ、だからと言って簡単に負けを認めてやる訳には行かない。

 俺は余裕ぶっているレオを睨む。


「……その目を見ると思い出しますねぇ」

「何をだ」

「あなたの、お父様を」

「前王を?」

「ええ。先ほどお話しした若者は、あなたのお父様です」

「若者……どう見てもお前の方が若く見えるがな」

「気のせいですよ、気のせい。聖人も、その契約者も、契約のときから年をとらなくなります。まぁ、不老不死ではないのですけどね。あなたのお父様が亡くなったことからもそれは明らかです」

「……なにを言っている?」

「おや、ご存じなかったのですか? これはこれは」

「おい!」

「あなたのお父様は聖人とご契約なされた。そして私たちに挑んで、敗北したのです」

「嘘を言うな!」

「こんなことで嘘をついてどうするというのですか。正直辛勝の歴史など語りたくないものですよ」

「辛勝……」

「我々は見事に追い詰められましてね。さすがに聖人同士となると、そう簡単には。結局、経験値の差で勝てた、というところです」

「経験値……?」

「私も教皇様も、長生きなんですよ。さて、無駄話はこれくらいにしましょうか」


 レオはそう言って構えた。次を最後の打ち込みにするつもりなのだろう。俺も構える。


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