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揃う呼吸

翌朝。


森は薄い霧に包まれていた。


静かすぎる。


鳥の声が少ない。


「嫌な静けさだな」


ガルドが低く言う。


レオンは頷き、前を進む。


エリスは少し後ろ。


間隔は自然に決まっていた。


不意に、地面が揺れる。


「来るぞ!」


次の瞬間、土を割って巨大な影が飛び出した。


《ルートワーム》


木の根のような体を持つ魔物。


全長は馬車ほど。


口が裂けるように開く。


ガルドが前へ出る。


「任せろ!」


大剣が振り下ろされる。


だが硬い外皮に弾かれる。


「ちっ、硬ぇ!」


ワームが尾を振る。


横薙ぎ。


レオンが叫ぶ。


「右!」


ガルドが跳ぶ。


その瞬間、レオンが踏み込む。


外皮の隙間。


節の境目へ突きを入れる。


手応え。


魔物が大きくうねる。


エリスが杖を掲げる。


「強化、展開!」


淡い光がレオンとガルドを包む。


足が軽くなる。


視界が澄む。


ワームが突進。


レオンは正面から迎えない。


横へ流す。


「今だ、ガルド!」


「おう!」


ガルドが高く跳ぶ。


強化された脚力。


大剣が振り下ろされる。


節の裂け目へ直撃。


硬い殻が砕ける。


魔物が悲鳴のような音を上げる。


だがまだ倒れない。


地面に潜ろうとする。


「逃がすな!」


レオンが走る。


滑り込む。


剣を深く突き立てる。


魔物が暴れる。


尾が振り下ろされる。


間に合わない。


その瞬間。


「守護!」


エリスの光が壁のように広がる。


衝撃が和らぐ。


レオンは踏みとどまる。


「……終わりだ!」


剣を押し込む。


内部を貫く。


ワームが大きく震え、やがて動かなくなった。


静寂。


霧がゆっくりと流れる。


ガルドが剣を担ぐ。


「悪くねぇ連携だ」


レオンは息を整える。


エリスが駆け寄る。


「怪我は?」


「ない」


ガルドも肩を回す。


「かすり傷だ」


エリスがほっと笑う。


「よかった……」


その笑顔が、自然だった。


レオンは周囲を見回す。


違和感。


ワームは通常、群れで出ることが多い。


だが一体だけ。


しかも、どこか弱っていたような動き。


「……森が変だ」


ガルドが頷く。


「ああ。魔物の気配が薄い」


エリスが小さく呟く。


「静かすぎます……」


風が止まる。


木々が揺れない。


生き物の気配が、少ない。


レオンは剣を握る。


「進むぞ」


三人の視線が揃う。


歩き出す。


今度は、自然と陣形が組まれていた。


前衛二人。


後衛一人。


呼吸が合う。


昨日よりも、確実に。


森の奥――


黒い核の気配が、少しずつ強くなっていた。

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